【d!】我々カフェテリアにようこそ【短編集】 (ページ18)

今日:6 hit、昨日:0 hit、合計:8,854 hit

花咲くいちごパフェ【tn】ページ18

Aは花が好きだ。花の力は凄い。見てるだけで力がみなぎってくる。花は季節によって咲く花が変わるのでそれを楽しむのがAは好きだった。ある日、とあるカフェの前を通った。その店先には大切に育てられた花々が並んであった。Aは足を止めてその花に見入ってしまった。どれも綺麗な花であった。今の季節は春。なので、春の花がカフェを彩る様に並んでいた。種類も多様だった。メジャーなチューリップ、マーガレットを始め、ハーブによく使うキンセンカ、立派に育ったアマリリスなどが咲き誇っていた。外の花は傷みやすく葉先が枯れていたりするのだが、このカフェの花はしっかりと育っていた。手の込んだ育て方をしているのだろうとAは思った。こんなに端正込めて育てている人はきっと人柄が良い人に違いないだろう。そう、考えてAはカフェに入らずその場を後にした。

また、別の休みの日にそのカフェの前を通った。今日も花を眺めようと思っていたが今日はカフェの店員であろう人が花の世話をしていた。
その人は男で眼鏡をかけていて、律儀に整えられた髪型でとても知的な雰囲気を醸し出していた。明らかに高学歴で育ちの良さそうな人だった。彼は手にジョウロを持ち１つ１つ丁寧に花に水をあげていた。それだけで、とても絵になる情景だった。Aはその一連をぼうと眺めていた。

「ん？いらっしゃいませ。すんません、気づきませんでしたわ」

Aは店員に気づかれどぎまぎした。水やりしてるところをずっと見続けるって私不審者じゃんと思った。まして、カフェに入る予定も無かったので焦った。

「良かったら一服して行きます？」
『あ、はい』

和やかな口調で店員が朗らか笑みを浮かべて誘ってきたのでAは断る事ができず難なく頷いてしまった。

「お好きな席どうぞ」

布巾で手に着いた泥を拭きながら歩く店員に案内され鈴の音と共にドアを潜った。カフェなんて滅多に入らないのでAはどきどきしていた。中も綺麗なインテリアばかりで目移りした。いかにも、お洒落な人が通いそうなカフェだ。私なんかが入って良いのだろうかと心配になりつつ席に着く。テーブルの端に立て掛けられていたメニューを見た。コーヒー以外にもケーキやパフェも取り扱っていた。どれも美味しそうだ。

「ご注文は決まりましたか？」
『あ、あの。店先にある。お花なんですけど、とても綺麗で』