○○しないと出られない部屋っていうのがあるらしいんですが。【宮侑・宮治】【稲荷崎】 (ページ37)

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『ねえ見て侑』

部屋を探検してウロウロしてた侑は
冷蔵庫を漁ってて私の奇行に気付いていないので
見てほしくて彼の居るキッチンまで行って声をかけてみた。

｢んー？な……ん、｣

『侑のジャージめっちゃでかい』

長すぎる袖から頑張って手を出したけどめっちゃ袖余ってる。何この人めっちゃ腕長いじゃん。羨ましいわちくしょう。

『え、てか超いい匂いする』

棒立ちの侑が視界の端に居るけど、そんな事より
襟元を引っ張ってすんすんしてたら止まらなくなった。宮家って柔軟剤何使ってるんだろ。

｢…A｣

『なになになにこわいこわい』

スンっと真顔のまま迫ってきてそのままシンクと侑に挟まれ、両脇は彼の腕で閉じ込められてしまった。

｢あかん、それはあかん｣

『ごめんね、脱ぐね』

｢脱がへんええよ。…いやでもそのままやと可愛すぎて俺どうにかなりそう｣

『え？』

｢どないしよ。とりあえず食うてええか？｣

『ごめんなさいすぐ脱ぎます』

｢俺、ちょっとずつ脱がしたいねんなぁ｣

『そういう意味で言ったんじゃないよ。ジャージ脱ぐって言ってるんだよ』

｢嫌やぁ。俺のって感じがしてめっちゃええやん…｣

待って、私もしかしてソッチの地雷踏んだ？スイッチ入った？

｢Aは俺ん事煽る天才やなぁ｣

『煽ってごめん、そういうつもりじゃなかった』

あ、これ俗に言う彼ジャーってやつか…

うわやらかしたマジ馬鹿。今気づいた。ぽんこつじゃん私

ぼーっと考えてるうちにジャージと制服の間に手ぇ入ってきてるし顔寄せてきてるし本気だ、彼…

『ね、ねえ侑！お腹空かない？ご飯食べたくない？！』

｢えー｣

『とびっきり美味しいの作るから。ね？』

｢んー…じゃぁ、｣

『じゃあ？』

…嫌な予感する。めっちゃ嫌な予感する。

｢ちゅーしてくれたら我慢する｣

やっぱそうなるよねぇ…

｢俺の事煽った罰や｣

『…』

うん。煽った私に責任があるよな…

Aは片手を侑の首にまわし引き寄せ
ほぼ口だけど、限りなく口角寄りにはむっと食べるようなキスを一度だけした。

『…これでいい？』

｢……はぁぁぁぁあああもおおおおお生殺しぃぃつらぁぁぁ｣

ぎゅうっと力いっぱい抱きしめながら
私のつむじに顔をぐりぐりする侑のせいで
大きすぎるジャージが肩からずり落ちてほぼ脱げた。