○○しないと出られない部屋っていうのがあるらしいんですが。【宮侑・宮治】【稲荷崎】 (ページ30)

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｢あいつなんてやめえや。飯食う事で頭いっぱいやねんで？俺にしとき、A｣

その時すぐ横にしゃがんだ治に腕を引っ張られ、彼の方へ体が傾いた。

｢何言うとんねん。お前には渡さんわクソツム｣

｢あ？その手ぇ離せやクソサム｣

今度は侑に身体ごと引き寄せられぎゅうっと背中に腕がまわった。それ以上揺らさないで…酔う…

｢…なぁA、俺ら同じクラスやし仲ええやんかぁ｣

おもちゃを取られてしまった子供みたいな顔しないで治くん？

私の服の裾をちょいちょいと掴み、甘えた声と
潤んだ瞳で上目遣いをする治に意識が持っていかれそうになる。

｢騙されたらあかんでA？これこいつの常套手段やねん｣

抱き締めたまま私の髪を掻き上げるように梳かす侑の手は、そのまま後頭部にまわり
艶っぽく笑って目を細めた彼意外、視界に何も入らなくなる。

『…も、やめ』

その時、扉が開く音がした。

『は！！開いた！』

半ば無理矢理だけど2人を引き剥がすことに成功。

よーし、帰ろ……って簡単にはいかないですよねぇ。この2人ですもんね。

｢どこ行くん〜？｣

｢もぉちょい俺らと遊ぼーや｣

…え、もしかしてスイッチ入っちゃった？

双子は感情も共有するって聞いた事あるけど
そういうのはシェアしなくてよくない？ねえ？

床に座ったまま、後ろから治にホールドされ
私に覆い被さるように迫る侑が目の前に居る。

｢すーぐ逃げようとするん嫌やぁ｣

いつぞやの猫撫で声で擦り寄る金髪が頬にかかり
その唇が右の耳元に軽く触れ、私の脇腹に触れた彼の片手の熱さが服越しに伝わってくる。

『…っ、ちょっとやめ、』

｢なーあー。Aー｣

さっきまで無防備だった左側には治のお顔。

ねえ肩に顔埋めないでよ。首元で喋らないでよ唇当たってますんで。それほんとに危険なんだってば。

『…っだぁぁぁもぉぉおう！！』

私は力を振り絞って2人を押しのけた。

やり返したろ。やられっぱなしは嫌だぜちくしょう。