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『私空いてるベッドいくから』
｢なんで｣
いや、なんでってなんで？
どちらかというと、急に不機嫌になった治くんがなんで？
『だってほら、1人の方が広々とベッド使えていいじゃん、ね？』
｢嫌や｣
『わ、私もう起きたいな〜』
｢俺寝たい｣
『うん寝るのはいいけど離してからにしてほしいな』
一生懸命身を捩って治くんから脱出を試みるが
全く動かない。いやマジでどうなってんの？その腕。ビクともしないんだけど。誰か助けて
｢…なんでそない逃げようとするん｣
『いや、当然の事だと思う』
治くんは誰にでもこんな感じなのだろうか。
力が緩んだ事を私は見逃さなかった。
一瞬の隙をついて彼から抜け出すと、乱れた髪を手櫛で治して
ベッドに腰掛けて枕元に置いてあった携帯片手にペットボトルのお水を飲んだ。
｢俺にも水ちょーだい｣
『んぐっ』
いつの間にやら起き上がって
背後にピタリとくっつきお腹に手をまわし
私の肩に顔を乗せる治くん
『…冷蔵庫に新品あるから持ってくるよ』
｢いや、いい。それくれ｣
半ば強制的に奪われた私のお水。
さよならお水。もうほとんどなくなっちゃったねお水。
『じゃあ私場所移動しますんで。おやすみ』
治くんがお水飲んでるうちに逃げ出そうと立ち上がった。
だけど腕をしっかり掴まれてまたベッドに座る。
｢なぁ、俺ん事嫌い？｣
『いや、嫌いではないけど……って、ちょっと、待って、なにすん』
ベッドに腰掛けている私に覆い被さるように距離を詰めてくる治くん。
その綺麗なお顔が近づいてきて即状況把握ができた。
だから咄嗟に治くんの口元を掌で抑え後ずさると
私の腰を引き寄せた大きな手が器用にするりと服の中に入ってきて
口元を抑えていた掌に彼の舌が這う
『待って、本当に待って、なんで』
｢寝起きってしたくなんねん｣
『うん、よく言うよねそれ…ってそうじゃなくて！リビングに皆いるし』
｢2人きりやったらええの？｣
『そういう意味じゃない！』
あれよあれよと押し倒されてしまい、
治くんは掛け布団をかぶって私に覆い被さると
両足の間に身体を無理矢理入れてくる。
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作者名：rae | 作成日時：2021年8月1日 22時
