○○しないと出られない部屋っていうのがあるらしいんですが。【宮侑・宮治】【稲荷崎】 (ページ18)

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『な、ななななにするの…』

｢そんな怯えんでもこないな所で何もせんわ｣

死角になる壁の端まで連れてこられた私。
うわぁ、これじゃ誰にもバレなさそうだねぇ。大変。

床に足は着いた…とはいかず

現在、胡座をかいた治の上に跨る形で座らされています。
腰にしっかり手がまわされていて動けません。危険です。

『もうこの体制がだめだと思う』

｢何もせぇへんけどちゅーくらいしたい｣

『それは何もしないとは言わないんじゃないかな』

｢やって好きにしてええんやろ？ルールやんな？｣

『支離滅裂』

コツンとおでこを合わせて上目遣いをする治。

本当にそれ、ずるすぎるよ…

｢でもな無理矢理するんは嫌やねん。せやから、ちゅーしてええよって言うて｣

『言わないよ…ってか、ついこないだほっぺにされた記憶が』

｢あれは、したうちに入らへんやろ｣

『どういう基準！？………って、ぎゃっ！』

その時、体が後ろに倒れた。

組み敷かれた事に気がついた頃には
私の横に肘を付いた治の顔がすぐ目の前にあった

彼の短い銀髪が頬にかかり擽ったいし、距離の近さに顔を背けようとしたら
後頭部に片手が添えられしっかり固定されてしまった

｢なぁ、してええよって言うて｣

『い、言わない』

ただでさえもう鼻と鼻が触れているのに
話しながらもっと距離を詰めてくる

｢前、ほんまに好きなら何もせんでって、A言うたやんか｣

『うん』

｢俺、ほんまに好きやとそんな余裕無くなるみたいやねんな
自分でもびっくりやわ。我慢できる自信あったんに｣

『それ…どういう、』

｢抑え効かへんくらい、お前が欲しくてたまらんねん｣

掠れた声で強請るような治の口元が動く度、唇が重なりそうになる。

このまま委ねてしまいそうなくらい、頭の中が目の前の彼で埋め尽くされていく。

2人きりの密室ではないということが
私の理性をかろうじて保っていた。

｢言う事聞くんがルールやで｣

そうだった、忘れかけてた。

『……して、いいよ』

小さく呟いた直後、ちょうど2分が経過。

｢…はっ。命拾いしたな？A｣

治はAを優しく起こすと
名残惜しそうに離れた

｢…全力で逃げなあかんで｣

『肝に銘じます』

さっきの言葉が嘘なのか本当なのか
悪戯に笑った彼を見たら分からなくなった。