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雲と雨 ページ10

syp視点




もう疲れた





家から持ち出した包丁
刃の部分に反射して俺の顔が映る
これが…俺の顔なんかなぁ……

少し肌寒い夜
誰もいない森のなかでそんなことを考える
ひとまず、俺は包丁を足元に置いた

俺は誰なんやろ
しがない高校生。そう思ってたかった
友達をつなぐために偽って話して話して
でもその話は結局亀裂を生んだ
違うな。俺だけが亀裂を生んだんや
互いに信用してるふりをして打ち明けて
その打ち明けられた話は俺に突き刺さった
大丈夫。なんて言葉、信じるに値しないのに
あんとき、俺はちゃんと笑えてたかな


大丈夫。泣いたらダメ
大丈夫。傷ついてなんかない
大丈夫。辛くない
大丈夫。君のせいじゃない
大丈夫。俺は平気
大丈夫。そう思ってたい
大丈夫。そう思わないと俺の中の俺が崩れる

大丈夫…大丈夫やから…


syp「もう…死なせて………」


『良いよ』


syp「え」


突然現れたそいつは俺の心臓部に包丁を突き立てた
反射的にそいつから距離を取った
足音もなにもしなかったのに……


『え、なんで避けるの?死にたいんでしょ?殺してあげる。一緒に死の』


syp「誰…?」


一緒に死のう
このセリフどこかで聞いたことがある
一緒に死のうとしてくるくせして、死なせてくれへん
確か…


syp「死にたがりのシキ…」


『違う!私はA!』


syp「A…」


そいつは片手に包丁を持ちながらこちらに近づいてきた
俺は少し身構えたものの、これで死ねるならと力を抜いた


『私ね、一人で死にたくないの。寂しいから』


syp「でもアンタは俺を殺してくれないんでしょ?」


『ううん。ちゃんと殺して私も死ぬよ』


syp「どうだか。アンタに出会うと死ねないって噂が流れてるんすよ」


『心外だなぁ…私はちゃんと一緒に死のうとしてるよ?』

そう言ってAは俺の手を引いた


『私が力を込めてもう少し前に押し込めば、君は死ねるよ』


syp「……じゃあ殺してくださいよ」


『君、大丈夫って知ってる?』

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(プロフ) - に‘‘ぃ‘‘さ‘‘ぁん‘‘ーーー (2022年10月16日 10時) (レス) @page33 id: 5511dd41f6 (このIDを非表示/違反報告)
かみぶくろ*(プロフ) - みずきさん» ありがとうございます(?). (2022年10月5日 19時) (レス) id: 789bc89d04 (このIDを非表示/違反報告)
みずき - 全あたいが泣き発狂した (2022年10月5日 16時) (レス) @page33 id: 129e1b5429 (このIDを非表示/違反報告)
かみぶくろ*(プロフ) - お塩さん» よし任務遂行(???)コメントありがとうございますw! (2022年10月4日 0時) (レス) id: 789bc89d04 (このIDを非表示/違反報告)
かみぶくろ*(プロフ) - レモンライムさん» とても嬉しい感想ありがとうございます!!レモンライムさんの小さなことでもいいので何か悩みを軽くできていたら嬉しいです。コメントありがとうございます! (2022年10月4日 0時) (レス) id: 789bc89d04 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:かみぶくろ* | 作者ホームページ:名前から飛んでね  
作成日時:2022年2月20日 2時

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