じゃあ。私と一緒に[d!!]

＊ ページ15

『えへへ可愛いでしょ』

os「…うん」

『可愛いってどういうモノ？』

os「えっと…ふわふわしてて、見てて楽しくなるようなもの」

『それが君の思う”可愛い”なんだね』

os「………」

『でもね、私今君が言ったものを可愛いと思わない』

os「やっぱり…俺は気持ち悪い？」


受け入れられると思ってない
気持ち悪いで一掃されて終わり
俺のことを理解してくれる人なんていない
わかってはいたけど、この子なら。と何度も裏切られた期待をしていたから
目から涙が溢れる


『私は可愛い物を好きな君が可愛いと思う』

俺が可愛い？
そんなの今まで誰にも言われたことがなかった
今までずっと…否定されてばっかりで

os「ええんかなぁ……ｯ俺は…俺で」


『君は自分を否定しすぎ
　君が可愛いものを集めて、可愛いものを好きで誰かに迷惑をかけたの？
　君は自分を否定して生き続けて辛くないの？辛いよね。だって辛くなかったら今ここで
　私と出会ってないもんね
　心から死にたいって思わないもんね
　好きなことを否定されて傷つかない人なんていない
　君は…これだけ否定されて尚それが好きで、そのために命を賭けようとした
　これに他者が口出ししていい理由なんてない
　もちろん私にも』


そう言ってAは俺の手を取って
柵の外へ立った
少し体を後ろに傾ければ落ちるくらいまで端によった
今Aが落ちれば俺も落ちる

『ね、一緒に死のう？』

os「ぇ……」

『私一人で死にたくないの、どうせ死ぬなら一緒に死なせて！』

os「っ！」

俺はAの手を引っ張って柵をこえさせ、こちら側に引いた
死ぬ。ただそれだけだと思ってた
けど今の俺にはさっきの言葉も全部、ただ死ぬだけじゃないと思えてきたから

os「俺は…死にたくないし…Aにも死んでほしくない…っ」

『んふふ、随分と欲張りさんだね』

os「わがままで…ごめん」

『それが君なんだよ。君にピッタリのお友達、私が見つけてあげる』

Aの顔が見れなくて
合わせる顔がなくて下を向く
死んでほしくない。なんて自分勝手だろうか

うつむいて涙を流していると、一際強い風が吹き
Aが掴んでいた腕からすっと抜けた
咄嗟に顔をあげると、そこにはもうAはいなかった
そしてAがいたであろう場所に深緑と白の羽が落ちていた
奇麗な羽を握りしめて、俺は家に帰った



.





＿＿＿＿

『花束は人それぞれだから。君は君の花を詰め込んで』

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