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34、楽しきかなヨコハマ観光 ページ34

××



「彼処がクレープ屋で、彼処が映画館、彼処がファッションショップ。ハイカラなお洋服が沢山売っているんですのよ」


翌日。私は谷崎ナオミ少女とヨコハマを観光していた。事の発端はつい一時間前。探偵社に出勤したところを、事務員のナオミ少女に捕まえられた。何故だか彼女は私がヨコハマ初心者だということを知っていて「ヨコハマの地理を頭に入れておいた方が良いと思いますわ!」とこうして殆ど強制的にヨコハマ観光することになった。

けれど、私は不思議とそれを嫌だとは感じなかった。ナオミ少女から完全な善意を感じるからだろうか。───否、それもあるだろうけれどこうして同世代の少女と出歩くことなんて無かったからただただ嬉しいのだ。


「あ、そうそう!彼処のファッションショップで何時も私服を買っているんです。兄様に選んでもらいながら……昨日Aちゃんが着ていた服もナオミのお下がりなんですよ」


あの黒色のミニスカァトのことか。
洗濯中なので今日は普段通りの制服だが、あのスカァトは品があって気に入っている。ナオミ少女に礼の言葉を伝えると彼女は口許を緩めた。


「ふふ!気に入って頂けたのなら何よりですわ。ちなみに、敦さんとAちゃんのコーディネートは皆探偵社員達が一つずつ出し寄ったものなんです」


曰く、あの赤いヒールは与謝野先輩。
ブラウスが国木田先輩、サスペンダーが賢治後輩。靴下が太宰先輩。そしてネクタイが武装探偵社社長と江戸川先輩から、とのことだった。なんだか色々と頂き過ぎていて申し訳なくなる。


「……そういえばナオミ少女は何故私を事務員に?」


そう、私を事務員にすることを提案したのはナオミ少女だ。あの時、私達は初対面。何故私を事務員に推薦したのか不思議だった。


「実は私───聞いていたんです。
医務室にいた時、敦さんの隣の寝台で眠っていたのですがそこで貴女と敦さんの会話が聞こえてきて……そこで敦さんが探偵社を辞めると云っていたでしょう?そしたらAちゃんは迷いなく「貴方についていく」って答えていて。ナオミ、何故だか感動したんですの。この二人はそんなに愛し合っているのだと」

「……え?」

「でも敦さんは探偵社員でAちゃんは探偵社員ではない。だから二人は一緒にいられない。そんなのは可笑しいですわ!私は二人を引き離したくなくてついAちゃんを事務員に、と」



ナオミ少女は艶のある黒髪を靡かせ、屈託なく微笑んだ。



**

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黒灰白有無%(プロフ) - 試しにと思い読んでみたら迚も面白かったです!!賭ケ/グ/ル/イは少々爆笑 Aが割と多く出て来るのは珍しいですね。凄く良い話だったので其の儘続編も楽しませて頂きます!! (9月8日 3時) (レス) id: 1ab55170b6 (このIDを非表示/違反報告)
そよそよ - A''''わずか一話で死んだのにいいキャラだった (2023年4月14日 18時) (レス) id: 28bb2962c4 (このIDを非表示/違反報告)
モモンガ←? - すっごくこの作品大好きで何回も読んでます!!七竈ちゃん可愛くて大好きです!!!!!! (2022年8月25日 13時) (レス) id: e4f6a8b567 (このIDを非表示/違反報告)
ミカン - Aはいいキャラしてるんだよなぁ (2022年1月4日 8時) (レス) @page50 id: 168fc3a64e (このIDを非表示/違反報告)
neko - 太宰さん…。 (2020年5月11日 15時) (レス) id: b3d6820988 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あんず | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2019年6月14日 21時

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