1、いざ、ヨコハマへ ページ1
××
「A、本当に良いのじゃな……?」
「うん、私、ヨコハマに出て自分の視野を広げたいのです」
平日のプラットホームには一人の初老と若い少女がいた。少女の歳は十五か十八そこらだろう。地元でも有名な名門校の制服を着た少女の顔には見覚えがあった。艶やかな髪に真紅の瞳。その異質ともいえる美しいかんばせ。方田舎であるこの街ではその少女の洗練された風貌は目立ってしょうがなかった。
「そんなに心配しないでくださいな。おじいちゃん。ちゃんと手紙も書くし、おじいちゃんに迷惑はかけませんから」
「……しかし、泊まる場所は……」
「そんなの大丈夫なのですよ。ヨコハマって、漫画喫茶?とかあるみたいですし。バイトもします。とにかく心配しないで」
話を聞くと、どうやら少女はヨコハマへ上京するとのことだった。ヨコハマ。それはこの寂れた街とは比較にならないくらい発展都市で都会だ。ただ何かと危ないニュースも見かけるので祖父は心配しているのだろうな、と思った。
そんなことを思っていると列車が来た。
少女はトランクを抱え、列車に乗り込む。
祖父が泣く。少女もまた、涙を堪えているようだった。まるでドラマのような、感動的な別れ。しかし、あまりに完璧すぎてある種の違和感を駅員は抱いた。列車が発車する。二人を隔てるように扉が閉まった。
***
列車が出発し、私は三つ編みに結っていた髪を解いた。ヨコハマ行きの切符を見つめながら笑みが零れる。
これでようやく、自由の身。
おじいちゃんのことは嫌いではない。
街のことも嫌いではない。ただ、あの街で一生を過ごしていくのかと思うと憂鬱で仕方がなかった。一度きりの人生。私は高校を中退し、ヨコハマに出ることを決めた。どうせ私がどんなに良い子で待っていようと母は帰って来ることはないのだから、好きに楽しもうと思ったのだ。
荷物は衣服数着にお気に入りの本一冊、所持金は一万円、それと双眼鏡。行き当たりばったりで、後のことなんて殆ど考えていない。
私はこれから何が起こるのかと、期待に胸を膨らませた。
でも、後に私はヨコハマなど行くべきではなかったと思い知らされることになる。
───しかし真逆、自分が凡ての異能を`魅了´してしまう異能力を持っていただなんて、そんなの夢にも思わないのが至極普通というものだろう。
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黒灰白有無%(プロフ) - 試しにと思い読んでみたら迚も面白かったです!!賭ケ/グ/ル/イは少々爆笑 Aが割と多く出て来るのは珍しいですね。凄く良い話だったので其の儘続編も楽しませて頂きます!! (9月8日 3時) (レス) id: 1ab55170b6 (このIDを非表示/違反報告)
そよそよ - A''''わずか一話で死んだのにいいキャラだった (2023年4月14日 18時) (レス) id: 28bb2962c4 (このIDを非表示/違反報告)
モモンガ←? - すっごくこの作品大好きで何回も読んでます!!七竈ちゃん可愛くて大好きです!!!!!! (2022年8月25日 13時) (レス) id: e4f6a8b567 (このIDを非表示/違反報告)
ミカン - Aはいいキャラしてるんだよなぁ (2022年1月4日 8時) (レス) @page50 id: 168fc3a64e (このIDを非表示/違反報告)
neko - 太宰さん…。 (2020年5月11日 15時) (レス) id: b3d6820988 (このIDを非表示/違反報告)
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