32、人の金で食べる焼肉美味し ページ32
××
カルビ、タン、ロース、ハラミ、レバー、サーロイン……
次々とお肉が焼かれていく様子を見て中島先輩がゴクリと喉を鳴らす。江戸川先輩はお肉を卵に絡めて舌鼓を打っている。二人に負けてられないなと思いながら、私も白米と一緒に焼肉を食べる。思っていたよりも柔らかく、良い肉を使っていることは明らかだ。私達はすっかり至福の境地に至っていた。
……約一名、死んでいる人がいるが。
「太宰さん、どうかされたんですか？もっと食べましょうよ！」
「敦くんって意外とドSだよね」
太宰先輩は財布を撫でながら、シクシクと啜り泣いている。江戸川先輩は太宰先輩のお財布事情なんて全く気にした風もなく店員さんにデザートを頼み始めた。
「乱歩さん……勘弁してください……」
「何云ってんの太宰？まだまだ始まったばかりだよ！」
「ひぃぃ……」
頭を抱える太宰先輩に哀れみの目を向けながら、私も箸を動かす。
「新人二人よ！僕の凄さがわかったか！」
「はえ！あだなのがいだあと！すがいです！」
中島先輩はもぐもぐと口に焼肉を詰まらせて何やら語っている。全くもって不可解な言語だったが江戸川先輩は理解出来たらしく「でしょでしょ？」と気分を良くしていた。焼肉を飲み込んでから、私も口を開く。
「とても素晴らしいと思いました。
まるで小説の中に出てくる名探偵の様な、いえ、それよりも、更に完璧で、更に華麗な」
江戸川先輩のような人間を天才、と云うのだろう。否、天才なんて陳腐な言葉では彼の凄さを表現出来ない。私はすっかり江戸川先輩の頭脳に心を奪われた。
「ふっふっふ！そこまで云われたら照れちゃうなあ！まあ事実だけどね！」
追加のデザートが運ばれ、豪勢なチョコレートパフェを江戸川先輩は頬張っていく。その様子がなんだか小動物みたいで、じっと観察していた。
「はい、どーぞ」
突然、江戸川先輩にスプーンを口に押し込まれ、口いっぱいに甘さが広がった。チョコレートが、甘くて。
「なななっ……！Aちゃん、これも食べなよ！」
「えっ」
口の中に広がる甘さを楽しむ間もなく、今度は焼肉が入ってきた。そしてまた江戸川先輩にパフェを押し込まれる、と思えば中島先輩に焼肉を食べさせられる。交互に続くそれに私の味覚は可笑しくなりつつあった。
完全に弄ばれている。
私をおちょくっている江戸川先輩に、ムキになる中島先輩。そして腹を抱え爆笑する太宰先輩。
帰りたい。
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黒灰白有無％(プロフ) - 試しにと思い読んでみたら迚も面白かったです！！賭ケ/グ/ル/イは少々爆笑 Aが割と多く出て来るのは珍しいですね。凄く良い話だったので其の儘続編も楽しませて頂きます！！ (9月8日 3時) (
レス) id: 1ab55170b6 (このIDを非表示/違反報告)
そよそよ - A''''わずか一話で死んだのにいいキャラだった (2023年4月14日 18時) (レス) id: 28bb2962c4 (このIDを非表示/違反報告)
モモンガ←？ - すっごくこの作品大好きで何回も読んでます！！七竈ちゃん可愛くて大好きです!!!!!! (2022年8月25日 13時) (レス) id: e4f6a8b567 (このIDを非表示/違反報告)
ミカン - Aはいいキャラしてるんだよなぁ (2022年1月4日 8時) (レス) @page50 id: 168fc3a64e (このIDを非表示/違反報告)
neko - 太宰さん…。 (2020年5月11日 15時) (レス) id: b3d6820988 (このIDを非表示/違反報告)
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