14、偶然なのか必然なのか ページ14
××
「ったく太宰は何故こうも身勝手で
「まぁまぁ落ち着きなよ。どうしたのそんなに怒っちゃって」
「お前の所為だわ!」
子供はとっくに寝静まっているであろう時刻に、奇妙な集団が歩いていた。それは事情を知らぬ他人が見たら通報されるんじゃないかと思うほどに奇妙だった。
そして、私はそんな奇妙な集団の中にいた。
麦わら帽子の少年におぶられ、すやすやと寝ている中島先輩が今回ばかりは恨めしい。
「……で。小僧が虎の異能力者なのは分かったが、この小娘は何なんだ。一般人なら帰した方が、」
「能力者だよ」
太宰先輩が冷静に返答した。
国木田先輩がまたもや叫び声を上げる。
その後、妖艶な女性が近所迷惑だと足を踏んだが、出来ることなら私も叫びたかった。異能力?能力者?なんだそれは。私はそんなの持っていない。出任せを云うなという意味を込め、太宰先輩を睨むが彼は笑みを崩さず言葉を続けた。
「ありとあらゆる `異能力´ を魅了する `異能力´ だ。現に敦くんが虎になった時、彼女にだけは攻撃しなかった」
「それは何かの偶然です!」
「偶然じゃあない。……そうだな、国木田くん。手帳で銃を出してAちゃんに突きつけてみて」
「はあ!?何故俺がそんなことを、」
「良いから」
太宰先輩の圧に負けたのか、国木田先輩は懐からを取り出し、万年筆を走らせる。その頁を破ると確かに紙だったものが、銃に変わった。え、と間抜けな声が出て数歩下がる。
次の瞬間、私の額に冷たい銃口が押し付けられた。
あまりに唐突過ぎて、思考が停止した。
本当になんで、こんなことになったのだろうか。
なんでこんな思いをしなくてはいけないのだろう。
頬に、涙が伝う。
同時に、私の頭から銃が離れた。
「国木田!!」
女性が声を上げる。
国木田先輩は、銃口を自分の頭に押しつけていた。その手は小刻みに震え、必死に銃口を離そうとしている。しかし、銃口はピクリとも動かない。
「Aちゃん、国木田くんを撃つなと命令するんだ!」
「は、はい!」
意味がわからないまま、私は国木田先輩を撃たないで、と願った。私が願った瞬間、銃が国木田先輩の手から弾き飛んだ。
「……っ……」
「ね、これで皆も理解したでしょう?
Aちゃんが命じれば異能力はそれに従い、Aちゃんを攻撃するものなら、異能力は主である異能力者だって殺す」
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黒灰白有無%(プロフ) - 試しにと思い読んでみたら迚も面白かったです!!賭ケ/グ/ル/イは少々爆笑 Aが割と多く出て来るのは珍しいですね。凄く良い話だったので其の儘続編も楽しませて頂きます!! (9月8日 3時) (レス) id: 1ab55170b6 (このIDを非表示/違反報告)
そよそよ - A''''わずか一話で死んだのにいいキャラだった (2023年4月14日 18時) (レス) id: 28bb2962c4 (このIDを非表示/違反報告)
モモンガ←? - すっごくこの作品大好きで何回も読んでます!!七竈ちゃん可愛くて大好きです!!!!!! (2022年8月25日 13時) (レス) id: e4f6a8b567 (このIDを非表示/違反報告)
ミカン - Aはいいキャラしてるんだよなぁ (2022年1月4日 8時) (レス) @page50 id: 168fc3a64e (このIDを非表示/違反報告)
neko - 太宰さん…。 (2020年5月11日 15時) (レス) id: b3d6820988 (このIDを非表示/違反報告)
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