嘘の塊 【灰谷 竜胆】

12.ハイライト ページ13

『ただいま…』

シーンと扉がしまる音だけが聞こえる

いつもそうだお帰りなんていってくれない


『お母さん、あのね、』

母「……」

どうしても誉められたくて期待してほしくて、今日自分が頑張ったことを話す。


『今日、ダンスの先生にうまいって誉められたの、それでね……』


母「だから何？」

テレビもついてないリビングで冷たい声が私の心を絞める


母「誉められたから何なの？」


こっちを向かずにスマホをいじりながら密閉された部屋でタバコを吸っていた


『だから…だから頑張ったよ…？』



母「へー」

何をいったってお母さんは薄い反応を返すだけ。


無駄、なのかな…


自分の部屋に戻り枕に今日もシミを作る



そして、いつしか私の目には

光がなくなっていた

そんな私をまたお母さんは哀れな目でみる


母「昔はそんなんじゃなかったのに」


その言葉ももう、どうでもよくて、

ダンスも歌も夢もどうでもよくて


ただ一人学校をサボって少し遠くの

公園のブランコで足をブラブラさせていた


「おねーさんー？今暇ー？ひまっしょ？」


下を向いていた私は。明らかに私に話しかけている人のこと無視できなくて顔をあげた

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