自慢の彼女【及川徹】

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群を抜いて上手いのが影山だというのが分かる。
月島も上手いけど、まだ殻を破り切れてないというか何というか。


「日向！」


影山のトスに合わせて"飛ぶ"日向。
想像を越えるジャンプ力はまだ見慣れない。


しかし、月島のブロックに簡単に捕まってしまう。


「ほらほら、王様のトスやればいいじゃん」


王様のトス？


「敵を置き去りにするトス、ついでに仲間も」


あはは！と月島は最初に田中にしたような顔で、何も言わない影山を煽る。



「王様王様ってなんなんだよ！！」




「君、知らないの？
意味は、自己中の王様。横暴な独裁者」

「北川第一のチームメイトが付けたらしいじゃん」

「横暴が行き過ぎてあの決勝ベンチに下げられてたもんね」




「ちょ…！」

「A」



これ以上は影山が傷付いてしまうと思い、月島を止めようとしたが、大地に止められてしまう。


「………ああ。そうだ。
トスをあげた先に誰もいないっつうのは心底怖えよ」


徹が言っていた意味がわかってきた。
バレーにのめり込みすぎて。勝ちにこだわり過ぎて。





ーーー仇となった。






「え、でもそれ中学のハナシでしょ？
俺にはちゃんとトスあがるから関係ない」



重くなった空気を変えてくれた日向にホッとした反面、影山はこれから自分のプレーが出来なくなってしまうのではないかという不安が頭をよぎり、安心することは出来なかった。







「影山！いるぞ！」







誰もいないはずのライト側。
そこにいつのまにか日向はいて。







「俺はどこにだって飛ぶ！どんな球だって打つ！





だから






俺にトス、持ってこい！！」

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