110.鏑木元 ページ10
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『あ、あのっ!!
明日はちょっと予定があって……
ごめんね。』
申し訳なさそうに、奏に向かって軽く俯くと、奏は少し残念そうな表情を見せた。
だが、すぐに微笑んでくれる。
奏「先約があるのなら仕方ありません。
また今度、Aさんを予約させて下さい。」
『あ、うん、分かった………』
側近2人の視線が痛いが、ここでこれ以上断ることは出来なかった。
Aがエコノミークラスへと向かっていると、元が追いかけてきて、声をかけられた。
「それ、渡しに行くんですか?」
『えっ、元さんどうしたの?』
「………本当に奏さまと2人きりで過ごすおつもりですか?」
『だって、断れないじゃん……
別に襲ったりしないから、心配しないで!』
先ほど、危険と言われたことを思い出し、少し不貞腐れながらそっぽを向くと、あからさまに溜め息を吐かれた。
「まったく、あなたって人は……。
私が心配しているのは、逆ですよ。」
『逆?』
「奏さまは紳士です。
普通なら、同意もなくあなたに手出しはしないでしょう。
ですが、あの奏さまに言い寄られたら、あなた断れますか?」
『なっ、そんなことにはなりませんっ!!』
「逃げずに答えてください。
あなたは、奏さまをどう思ってるんですか?
その気がないなら、2人きりにはならないで下さい。」
『でも……』
奏の誘いには、下心がない。
本心で、もっと話したいと言っているだけなのが分かるから、断りにくい。
他の男子なら、こんなにも難しいことではないだろうが、やはり奏は別格なのだろうか。
Aの煮え切らない態度に、元はドンッと音を立てて、Aの後ろの壁に手をついた。
『っ!?』
「奏さまの誘いを断ると、ここで断言してください。」
『なっ、何でそこまで……
私が庶民だから?』
「それだけじゃありません。
私が……
私が嫌なんですよ、あなたと奏さまがこれ以上親しくなるのが。」
((どういう意味!?))
「ところで、明日のご予定は本当ですか?
断るための口実ですか?」
『本当に予定はあるよ……。』
それを聞くと、壁から手を離し、腕組みをする元。
(予定がなければ、断ってなかったってことですか……)
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うみか(プロフ) - ゆなさん» ありがとうございます!これからもネクストには活躍していただくので、よろしくお願いします。 (2021年7月29日 21時) (レス) id: 81b182e416 (このIDを非表示/違反報告)
ゆな - 更新ありがとうございます!いっちゃん好きなのでなんなほっこりします (2021年7月29日 1時) (レス) id: 333f181d63 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:うみか | 作成日時:2021年7月27日 0時