97.エコノミークラス ページ47
・
『っ、光輝くん！？』
「俺、Aさんが好きです。」
『！！』
「誰にも渡したくないんです。
俺じゃダメですか？」
そこまで言うと、光輝はAを離し、じっと目を見つめる。
Aは、頭がパンクしそうなぐらいあたふたし、真っ赤になってしまう。
それでも目をそらさずに見つめてくる光輝を、自分を落ち着かせるように胸に手を当てて、見つめ返した。
『………ごめんなさい。』
「…………っ。」
((今はダメだ……。王子選手権がちゃんと終わるまでは、誰のことも好きにならないって決めたんだ。
じゃないと、最後まで見守れないかも知れないもん……))
「好きな人、いるんですか？」
『ううん、いないよ。』
「だったら、俺と……」
『それは出来ない。ごめんなさい………』
下手に王子選手権への思いを告げれば、その後で可能性があると期待させてしまうだろう。
まだ、自分が誰を好きなのかも分からないのに。
Aは、必要最低限のことだけしか言えなかった。
お祭りが終わる時間になり、最後の方まで残っていた海司たちも旅館へと戻ってくる。
海司「あー、疲れたなぁ。」
陸「ようやく明日帰れるな。
………って、うわっ！！光輝！？」
尊人「なんだよ、電気もつけないで！」
部屋に入って明かりをつけると、既に敷かれた布団の上に、光輝が小さく座っていた。
竜「Aと何かあったのか？」
海司「まさか、誰かに邪魔された？」
光輝「………フラれた。」
陸「ええっ！？」
海司「告ったの？」
光輝「うん。で、ごめんなさいって言われた。」
陸・海司・竜「…………。」
尊人「そっかあ〜、フラれたのか。まあ、元気出せよ。まだ挽回できるだろ？」
光輝「………そうっすね。
好きな人はいないって言ってたし、俺まだ諦めません。」
尊人の言葉にハッとして、少しだけ顔を上げ強い眼差しで決意をする。
不安だらけだが、このまま諦めたくはなかった。
竜「アニキ、Aのこと好きなんだろ？何で応援してんだよ？」
尊人「ライバルには、正々堂々と戦ってほしいからな。」
竜「正々堂々と………」
竜もまた、強い眼差しでそっと尊人を見つめた。
・
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 129人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
うみか(プロフ) - ゆなさん» 普通の恋愛夢小説とは一風変わっておりますが、楽しんでいただければ幸いです。励ましのお言葉、ありがとうございました。 (2021年6月23日 14時) (
レス) id: 5b7d0eb9a9 (このIDを非表示/違反報告)
ゆな - プリロワの世界観、良きです！無理せず頑張って下さい。 (2021年6月22日 2時) (レス) id: 333f181d63 (このIDを非表示/違反報告)
うみか(プロフ) - ゆなさん» ありがとうございます、とても励みになります！ (2021年6月13日 21時) (レス) id: 7ae50b0eb6 (このIDを非表示/違反報告)
うみか(プロフ) - りなさん» 嬉しいお言葉、ありがとうございます！ (2021年6月13日 21時) (レス) id: 7ae50b0eb6 (このIDを非表示/違反報告)
ゆな - 初めまして、とても素敵な小説ですね。読むのが楽しみです。その後の話楽しみに読ませてもらいました。頑張って下さい。 (2021年6月13日 8時) (レス) id: 333f181d63 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：うみか | 作成日時：2021年5月29日 23時
