51.久遠誠一郎 ページ1
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奏「もう暗いし、家まで送りますよ。」
『大丈夫だよ、うちの前道狭いし……』
奏「では、歩いて送ります。」
『そんなっ、大丈夫だって!』
久遠「奏は危ないからダメだ。俺が行こう。」
元「いえ、誠一郎さんは奏さまのお側に。私が付き添いますよ。」
((なんか私、すごい迷惑かけてない……?))
肩身の狭そうな表情を読み取られたのか、奏が1歩引いて、久遠に頼むと言ってきた。
奏「誠一郎、よろしく頼んだよ。」
久遠「あぁ、奏は風呂にでも行ってろ。」
久遠は奏に微笑むと、Aの方へ向き直って、行くぞと促した。
背後で元に鋭く見られているような気がするが、気のせいだと思いながら、挨拶をして立ち去る。
久遠「奏は、毎日家の近くまで送り迎えをしたがってるぞ。」
『だから、それは断ったでしょ〜?
私は庶民中の庶民なの!毎日リムジンなんて、肩凝っちゃう。』
久遠「そうか……。
奏のことが嫌なわけではないんだな。」
『嫌なわけないよ!
奏さん本当の王子様みたいに優しいし。』
久遠「…………。
やっぱり、お前も奏みたいなのが好きか。」
『そりゃ好きだけど、久遠さんも元さんも好きだよ?』
久遠「………っ!?
ったく、ふざけてないで、真っ直ぐ歩け。」
『何よ急に………』
首をかしげながら、早歩きになった久遠を小走りで追いかける。
すると、突然自転車がすごいスピードで走ってきた。
久遠「危ないっ!」
『きゃっ!!』
避けようとした瞬間、久遠に引き寄せられバランスを崩す。
そのまま、久遠に抱き付く形で電信柱に激突した。
『わっ、ごめんなさい!』
久遠「…………いや。」
『頭ぶつけた?大丈夫?』
久遠「俺は大丈夫だ。お前も平気なら、さっさと帰るぞ。」
心配して覗き込んできたAを、押し退けるように体勢を整えると、さっさと歩き出してしまった。
再び小走りで追い付くと、久遠がフッと笑った。
不意打ちの微笑みに一瞬ドキッとするが、そのまま平然を装って、取り留めもない話をしながら帰路についた。
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うみか(プロフ) - ゆなさん» 普通の恋愛夢小説とは一風変わっておりますが、楽しんでいただければ幸いです。励ましのお言葉、ありがとうございました。 (2021年6月23日 14時) (レス) id: 5b7d0eb9a9 (このIDを非表示/違反報告)
ゆな - プリロワの世界観、良きです!無理せず頑張って下さい。 (2021年6月22日 2時) (レス) id: 333f181d63 (このIDを非表示/違反報告)
うみか(プロフ) - ゆなさん» ありがとうございます、とても励みになります! (2021年6月13日 21時) (レス) id: 7ae50b0eb6 (このIDを非表示/違反報告)
うみか(プロフ) - りなさん» 嬉しいお言葉、ありがとうございます! (2021年6月13日 21時) (レス) id: 7ae50b0eb6 (このIDを非表示/違反報告)
ゆな - 初めまして、とても素敵な小説ですね。読むのが楽しみです。その後の話楽しみに読ませてもらいました。頑張って下さい。 (2021年6月13日 8時) (レス) id: 333f181d63 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:うみか | 作成日時:2021年5月29日 23時