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「失礼しまーす、」
何故だか少し緊張しつつ、保健室のドアをノックした。
「どうぞー。」
向こうから声がして、ドアを開けると白衣を着た女の人がギィとイスを鳴らして振り返った。
噂通りのきれいな人だった。
「あ、…えーっと、…そう!中島くんだ!」
彼女は俺の顔を見るなり
嬉しそうにポンっと手を叩いた。
「え、何で名前知って、」
だって、俺、保健室なんか来るの初めてだし。
この先生と接点があったとは思えない。
実行委員をやってた体育祭の時とか…?
いや、心当たりがない。
驚く俺を見て、ふふっと笑った先生は
「だぁって、中島くんって有名人じゃない?」
「は?」
有名になった覚えはないんですけど。
「放課後ココに恋愛話しにくる女の子達はやれ中島くんだ、山田くんだって、みーんな言ってるよ。」
「……はぁ、、」
同じクラスの山田は目立つ。
そりゃ、あんなキレイな顔してたら当然だ。
1年のとき、そんなヤマと席が近かったのがきっかけで仲良くなったけど、
それから何だかんだと「ゆとやま」なんて一括りにされがち。
「今日の体育はサッカーって聞いてたから
誰か1人くらい来るかなーって思ってたけど、まさか中島くんだとは。」
「…ダメすか。」
「ううん、噂の中島くんと話せて嬉しい。
あ、怪我人が保健室に来て嬉しいは先生としてよくないね!」
ごめんね!と微笑んだ先生は
どうぞ、とイスを勧めてくれた。
“噂の中島くん”と呼ばれることには違和感しかないが、それを言うならこっちこそ“噂の保健医”だ、と言ってやりたい。
こんなにきれい(と言うか笑った顔は可愛いに近いかな?)で、生徒からみれば適度な歳上で、
そのうえ保健室のせんせい、だなんて。
健全な男子高校生が食いつかないわけがない設定なのだから、必然的にこちらはこの先生の噂くらい聞いたことがあるのだ。
「どこ怪我したの?」
おれがジャージの裾を捲って手のひらと膝を見せると、あーあ痛そう、と零した。
「洗ってきた?」
「一応。」
「お、えらいえらい。」
そうして子どものお使いを褒めるように言ったあと、消毒液を染み込ませた脱脂綿をピンセットにはさんで傷に押し当てた。
ひりひり沁みるけど、声を出したりしない。
だって子どもじゃないんだから。
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あいと(プロフ) - このさん» ありがとうございます!!泣 不定期、というか、書けたときに更新するという感じになるので、またこのさんが忘れた頃になにか更新してるかもしれません笑。これからもよろしくお願いします☆ (2020年7月7日 7時) (レス) id: 6689a85a28 (このIDを非表示/違反報告)
この(プロフ) - あいとさん!もう書くのを辞められたのかなって思っていたので、更新があってすごく嬉しかったです!!!!あいとさんの作品が大好きでこれからも、ずっと読み続けます!! (2020年7月5日 23時) (レス) id: 2ec27d7b3e (このIDを非表示/違反報告)
あいと(プロフ) - 遥さん» こんな更新の仕方しかできなくて、読んでもらえるだけでありがたいのに、そう言ってもらえるなんて恐縮です(/ _ ; )ありがとうございます!!超スローペースですが、今後もよろしくお願いします☆ (2020年6月27日 22時) (レス) id: 6689a85a28 (このIDを非表示/違反報告)
遥(プロフ) - 占ツクの作品の中であいとさんの作品がダントツで大好きです!気持ちを抑えきれない裕翔くん可愛かった…あいとさんのペースで他の作品の続きも書いてもらえると嬉しいです☆ (2020年6月25日 23時) (レス) id: d8f11fe701 (このIDを非表示/違反報告)
あいと(プロフ) - coさん» わぁー!こぉさんありがとうございます( ; ; )こんなお話まで読んでいただけるなんて、お恥ずかしや…(笑)やまちゃんは生意気かわいいって感じにしたくなっちゃうんですよねぇ♪ (2020年6月21日 23時) (レス) id: 6689a85a28 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あいと | 作成日時:2018年8月5日 14時