短恋文 -２-

◎ ページ18

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「ほら、患者さんが来たんだから、あなたたちはもう帰んなさい。」

患者さん、とは、きっと俺のこと。
だけど、別に俺はどこも悪くない。
きっと先生はそれもわかってて、言ってくれているんだろうと思う。



え〜、やだ〜と駄々をこねる彼女たちを
さぁさぁ、と有無をいわせず立ち上がらせて扉まで送り届けると「またおいでね、」と声を掛けた。


そして戸を閉めてから振り返った先生は、肩をすくめて笑って見せた。



「あの子たちも悪気があるわけじゃないんだけどね。」

先生がフォローするけれど、こういうのって悪気があるとかないとかじゃなくて、何かいい気はしない。




俺が少しモヤモヤしていると、それに気づいたのか
「あまり気にすることないよ。」

先生はそう言って、それから

「中島くんの御用はなぁに？」
と、いつものようにのんびり訪ねてくれた。



はっ、そうだった！
目的を忘れるところだった！



「せんせ、見て見て！」

カバンに仕舞っていたそれを、先生に自信満々に突きつけた。


今までのテスト勉強で一番くらいに頑張った。
そのおかげで追試どころか全教科で平均越えだったし、なんなら割と高得点な方じゃないだろうか。



先生はそれをひとつずつ眺めて、
ふぅ〜ん、と目を細めた。


「これで全部？」

「うん、全部！」

「よし、ごうかく！よくできました！」




ほめられた！


先生に褒められたことと、
保健室行きのキップを死守できたことで、心は踊る。


なんて単純なんだろう。


この調子なら、帰り道はスキップしてるかもしれない。


なんなら今走り出したいくらい。

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