だいすきって、もっと言って (ybin) (ページ10)

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掃除しといて、と言われたのは、リビングの棚。
確かにここはちょっとちらかってるかも。並んでる本も、逆さまになっていたり、上に積んだりしてあるから。

それを全部出して、あいうえお順に並べていると、薄い一冊のノートを見つけた。

「え、これ……」

タイトルのところには、俺の汚い字で『いのお用』と書いてある。
これは。いのおが停学処分をくらっていたときに、俺が、いのおのためにとったノートで。

「やぶ、整理終わった……ってそれ、ちょっ……！」

俺のそばに急いでやってきて、俺の手にあったそのノートをとって胸に抱くいのお。
悲しそうな、苦しそうな、なんとも言えない顔で。

「……捨てなかったの、それ。もうとっくに捨てたかと思ってた」

「何言ってんの、捨てられるわけ……！やぶが俺のために作ってくれたものなのに……

……ごめん、ちょっと、重かった、忘れて」

目をそらすいのおを抱きしめると、いのおの体に力が入る。
あやすみたいに背中をぽんぽんすると、少しだけ体の力が抜けた。

「無理、絶対忘れない。
あーもう、超嬉しいんだけど、もう」

「……おかしいよ、やぶ、こういうのは重いんだよ」

「世間一般ではそうかもしんないけど、俺の中ではぜんぜん……っていうか、むしろ重いのめちゃくちゃ嬉しい」

「ん、んっ……」

首筋に顔を埋めて、白い肌を吸う。
いちいちこんなことしてる俺も、相当重い気がするわ。

「……じゃあ、」

「ん？」

「……おれもやぶに、跡、つけていい……？」

きゅう、と手が体に回されて、ぴったりと体が触れ合う。
いのおの早い鼓動が心地よくて、もっと抱きしめながら頷くと、顎の付け根くらいのところに唇が触れた。

「……やっぱやめた、つけない」

「なんで？」

「だって……つけなくても、まわりの女の子のこと牽制しなくても、やぶに俺のことだけ見てもらえるように頑張るもん」

ああ、もう。

「っなんでそんな無意識に煽るようなこと言うかなあ、」

体を離して、床へ押し倒すと、真っ赤に染まるいのおの顔。
勉強しにきたはずなのに、結局はこうなってしまうのはいつものこと。

とりあえず今は、俺のことが好きで好きでたまらないって全身で表現してくれる可愛い恋人を、たくさん甘やかすことに専念しよう。

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お久しぶりです、酢雨です。
テスト期間中ってなんだかいいですよね…
ありがとうございました！

酢雨