だいすきって、もっと言って (ybin) (ページ9)

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ノートページ9

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side:K.Y

学年が上がって最初のテストがもうすぐある。
俺もいのおも、そこまで勉強ができないわけじゃないから、そんなには焦ってなくて。

でも、勉強したっていう体裁は必要だろうと思って、放課後、いのおの家に勉強道具を持っておしかけた。

「……やぶ、別に勉強する必要ないじゃん」

「まあ、そうだけど。しとかなきゃって思ってさ」

気だるげないのおが出迎えてくれたのは、俺が家のチャイムを押してから2、3分後。
部屋着に着替えたいのおの首には、昨日つけた真新しい赤い跡がある。気だるげなのもきっとそのせい。

「生徒会長なのに？運動神経抜群で勉強もできるのに？これ以上完璧を求めるの、」

「いやいや買いかぶりすぎ。とにかく勉強しようぜ」

そりゃあ、俺だって勉強しないと死ぬとか、そんなんじゃないし、なんならちょっと下心もあるし。

「……わかった。今、あんまり家片付いてないんだけど、いい？」

「今更だろ、もう半分住んでるみたいなもんなのに」

あ、
今自分で言って、ちょっと恥ずかしくて、嬉しかった……かも。

＊

ぽつぽつ話しながら勉強をしていると、いのおが急にシャーペンを置いて俺を見た。

「……なに？」

「いや……あのさ、テスト勉強中って、ものすごく掃除したくならない？」

「なる、けど……え、今？」

「ん……めちゃくちゃ今掃除したい。部屋もぐちゃぐちゃだし」

「いや、そんなちらかってないけど……」

「手伝って、やぶ。どうせまた明日もこうやってくるでしょ？明日も絶対うずうずするから、今日片付けよ」

立ち上がったいのおの目は、もうどこから掃除するかを考えていて。
諦めて、シャーペンを置くと、いのおは可愛らしい顔でにっこりと笑った。