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大丈夫、心配するな。躊躇いなくそう言えるのは、彼が友達を心の底から信頼している証なのだろうし、そこになんの偽りもないのだろう。だけれど、私の方はいくら言われても罪悪感を拭い去ることなんて出来なくて。必死に止めた涙が、また湧き上がってしまいそうになる。
「で、でも、だって」
「うん？」
「いくら慣れてたって、怪我していい理由なんて、な、ないです」
「……」
「ごめんなさい」
「……あー、泣くな」
必死に堰き止めていたはずのそれはあっけなくわらわらと溢れ出てしまい、ああ、またやってしまった、と情けなさでまた涙が押し上げられる。
「佐野くんも、ぶたれそうにな、なって」
「ぶたれねーよ」
「もう、お、遅いのに、送ってくって」
「今更そんなんで怒られねーから」
「わたし、迷惑ばっかり」
「……」
「ごめんなさ……」
そういうや否や、「おいコラ」と至極不機嫌そうな声が飛んでくる。むぎゅ、と両頬を人差し指と親指で挟まれ、無理やり顔を上げられた途端、不思議なことに涙はぱたりと止んでしまった。
「次ぺこぺこしたら」
「したら……？」
「引っぱたく」
「引っぱたく…！？」
「ヤだろ」
「や、ヤです」
「二度とすんな」
「しません」
しません、そう言った途端頬から手を離される。彼は「嘘だよ」「女は叩かねえ」と目を伏せるけれど、果たして本当なのかわからなかった。けれど、相変わらず俯いている私に、彼は先ほどまでの怒り狂った様子とは打って変わって穏やかな口調で話し始めた。
「オレも」
「え」
「無理やり運んで連れてったから、それでおあいこ」
「……」
「それでオレへのメーワクはチャラ」
無理やり運んで連れてった。数十分前の俵担ぎのことだ。
その時の感覚を鮮明に思い出した途端、ぶわ、と身体中が凄まじい熱に襲われる。
触れられた。担がれた。
わたし、おとこのひとに、あんなことを。
あんな風に手を煩わせてしまった。本当は喧嘩が強いはずの彼の足を引っ張ってしまった。それに、なによりも、なによりも。重くはなかっただろうか。自分の中に「普通の女の子」のような考えが巡ったことに驚いたけれど、慌てふためいている時間は全く無かった。
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まめ(プロフ) - 世河経さん» コメントありがとうございます！丁寧に読んでいただいたみたいでとても嬉しいです😭 これからもよろしくお願いいたします！ (2022年4月7日 11時) (
レス) id: e02a633284 (このIDを非表示/違反報告)
世河経(プロフ) - 久し振りに感嘆の溜息を吐いたような気がします……作品の持つ雰囲気に刮目しました！是非、更新頑張られてください！！ (2022年4月2日 12時) (レス) @page2 id: 1e6cb0271b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：みな | 作者ホームページ：https://mobile.twitter.com/nymn624
作成日時：2022年4月1日 21時
