95話 ページ48
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ふたりで抱きしめ合いながら、ずっと泣いた
寂しさを埋めるように、絶対に離さないと言うようにお互いにしがみついた
それくらい、身近な人の、大切な人の、死は辛かった
簡単に受け入れることなんてできなかった
私は、佐野くんの心臓の音を聞きながら場地さんとの過ごした時間を思い出していた
初めて話したのは、体育祭のリレーの練習のとき
佐野くんから幼馴染がいるって聞いてたからどんな人だろうってずっと気になっていた。話してみると、いい人で話しやすかった。
それからは、廊下や学校内ですれ違うたびに話しかけてきてくれた。私は、あまり友達が多い方ではないため、話しかけてくれたり構ってもらえるのは正直嬉しかった
「真壁ー、これやるよ」
「え、いいんですか?」
おまけでもらったからと猫のストラップをもらった
「てめぇ!思いっきり当てやがったな!」
「だってドッジボールってそういうゲームです!」
体育の時間に敵チームの場地さんを狙い撃ちしたら、追い回されたこともあった。顔は怖かったけど、全然怖くなくて、こんな全力で追いかけっこなんてしたことなかったから楽しかった
「場地さん、ここはこの公式を使うんです。というか、この公式だけでここら辺のものは全て解けます」
「お前、天才だな」
中間テストが近い日は、松野くんの家で3人で勉強をしたこともあった
「なんか俺、妹できたみたいだわ」
「場地さんがお兄ちゃんか〜」
「嫌なんか」
「全然です!むしろ嬉しいです」
一度だけ、ふたりで下校したことがある
場地さんは、コンビニでアイスを買ってくれた
私には、11歳上のお兄ちゃんしかいないから、年の近いお兄ちゃんがいたらこんな感じなのかなって思って、場地さんみたいなお兄ちゃんいいなと想像して口元が緩んだ
出会って、5ヶ月ほどしか一緒にいなかったが、たくさんたくさん私の中に大切な思い出として残っていて、また涙が溢れた
その涙を佐野くんが指で掬って、
「……冬、このお守り持って江ノ島行くか。ケンチンやみんなも誘って」
「……うん」
私たちは、まだ傷は癒えてないけど、頑張って笑顔を作って場地さんの話をたくさんした
ずっと下向いてたら、きっと場地さんは怒ってしまうと思ったから
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作者名:ミルクレープ | 作成日時:2021年6月17日 0時