72話 ページ25
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今日から新学期…なのだが、私は昨日のことを思い出して、やりどころのない羞恥を感じていた。すごい勢い任せで大人の階段を登ってしまったわけだが、中学2年生で済ませちゃったのは早い方なのだろうか、それとも遅いのだろうか…
『…A』
私の身体に覆い被さって、少しピンクがかった金色の髪を垂らしながら、私の頬に手を添えて名前を呼ぶ佐野くんの顔が急に頭に流れ込んできて、机に突っ伏した。
事が終わってからじわじわと記憶が蘇り出してしまい、ずっとこの調子だ。恥ずかしすぎて死ぬ
『……もうAがいないと何もできない』
『どこにも行かないで、ずっと俺だけ見てて…だいすき、だいすきA』
『俺はAだけのものだから、Aも俺だけのものだよね?』
事の最中ずっと、甘い言葉を囁き続けてた佐野くん
執拗に大好きと俺だけのものを繰り返し、私の脳と身体全体に刷り込ませるように口から漏らす
頬を赤らめトロンとした目つきで見てくる佐野くんは、息が止まりそうなくらい艶っぽくて、私は何も言えず、ただただ佐野くんを受け止めることしかできなかった
初めての彼氏だから自分にとって佐野くんが基準になっていたが、
もしかしたら私の恋人は、かなり愛が重めなのかもしれない
「…真壁?」
頭上から声がして、ハッと正気に戻る。顔をあげると、不思議そうな目で私を見ている松野くんがいた
「松野くん!おはよう」
「おはよ……いや、どうした?体調悪いのか?」
「え!?なんで?」
「なんでって、ずっと机に突っ伏してたし顔も赤いし」
顔、そうだよね
ついさっきまで邪なことで頭がいっぱいだったんだから仕方ない
「…あ、えと。暑くて、」
「……?まあ、まだ暑いよな」
なんとか誤魔化せた、よかった…
「そういや、今日席替えあるな」
「あ、そうだね。そろそろ離れるだろうね」
「宿題見せてもらえなくなる」
「え、それだけ?寂しいとかはないの?」
軽口を叩いてくる松野くんの腕を小突く
私は、わりと松野くんと離れるの寂しいなって思ってるんだけど
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作者名:ミルクレープ | 作成日時:2021年6月17日 0時