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70話 ページ23









夏休みももうすぐ終わる
去年よりもたくさん色んなことをして楽しい思い出が作れた

おばあちゃんとひまわり畑に行って、松野くんたちと花火をして、佐野くんとルナちゃんとマナちゃんとお祭りに行って、友達と海に行って、場地さんと松野くんと3人で江ノ島に行ってたくさんの猫ちゃんたちに会いに行って、佐野くんとバイクで目的地決めずにツーリングしたり、たくさん楽しかったな



今日は、8月31日。夏休み最終日だ
そんな日に私は、佐野くんの部屋にいた。



きっかけは、佐野くんに最後に行きたい場所はあるか?と聞かれ、ふとまだ佐野くんのお家に行ったことないなと思い、口に出したら佐野くんは快く受け入れてくれた。






「佐野くんのお部屋、大人っぽい…」
「兄貴のをそのまま使ってるからな、」

初めて入る部屋が物珍しく、行儀悪いがキョロキョロと見渡してしまう
すると、棚に飾ってあったある写真が目に入る




「これって…」
「ああ、俺の兄貴も暴走族の総長やってて、そん時の写真だな」

「お兄ちゃん…」
「は?」



「お兄ちゃんがいる」
「…?」

「佐野くん!この人!この、右から2番目の人、私のお兄ちゃん!」
「は?!」


嘘だろ!?と目を大きく開いて驚いている佐野くん。大丈夫。私も同じくらい驚いているから

兄が暴走族だったのは知ってるけど、まさか佐野くんのお兄ちゃんと同じチームだったとは…世間って狭いな


「しかも、Aの兄貴、隊長かよ!」
「あ、刺繍見る感じそうだね」
「すげー!なんか、嬉しい」
「私も」



なんでだろう、別に私たちには関係ないことなのに
自分たちの兄弟も知らないうちに繋がっていたことに喜びがこみ上げる




佐野くんはよっぽど嬉しかったのか、後ろから私を引き寄せるように抱きしめそのまますぐ後ろのベッドに倒れこむ








「…A、俺たちって運命の相手だと思わね?」

なんて、クサイ台詞を吐き出す佐野くん
でも、私もそう感じてた。私は小さく頷いて佐野くんの真っ暗な瞳を見つめる


いつもは、ベッドにふたり寝転がることがあっても、それは自分のベッドのため何も感じなかったが、いま横たわっているベッドからは頭がおかしくなるほどに佐野くんの匂いが充満していて、気持ちがふわふわしてくる



佐野くんは、そんな私を愛おしそうに見つめて唇をゆっくり近づけてきた







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作者名:ミルクレープ | 作成日時:2021年6月17日 0時

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