27 shota ページ28
「…今かー。遅すぎるよな。」
自分でも口に出るくらい、思っていた。
デビューが決まったその日に、俺は深澤とAと会った。
Aは「おめでとう」と、目を潤ませて俺らのデビューを祝福してくれた。
ポンっと俺の肩に置かれたAの手は、小刻みに震えてた。
「え、泣いてる？」
俺がわざとらしく、茶化したように言えば、
「うん」
と、Aは素直に首を縦に振っていた。
顔を覗き込むと、大粒の涙が頬を伝ってた。
深澤も「ほんと、Aのお人好しぶりには呆れんね」なんて、眉を下げて笑った。
俺より俺のデビューを喜んで、手が震えるくらいに泣いていたAを見て、
好きだと思った。
その日の帰り、Aは彼氏が迎えに来ると言うので、深澤と二人で帰った。
冬の夜風が、俺たちを悲しくなるくらいに刺していたことを、未だに覚えてる。
「お前、それで良かったの？」と深澤は俺に聞いた。
「…ん？なにが」
「とぼけんなよ。“デビューしたらAと付き合いたい”って言ってたじゃん。お前」
よれよれと俺の前を歩く深澤は、少し振り返って俺を横目に見た後に、呆れたようにため息をついていた。
「別に、Aのこともう好きじゃないからさ」
「…嘘下手かよ」
深澤はの言葉は冷たかった。
「ロクな恋愛もしないでダラダラ何年もA待たせて、未だに彼女も作らずこんな歳になってさ。よく言うよ。ほんと」
冷たいけれど、何も間違ってなんかいなかった。
その通りだと思った。
「今からでも遅く無いんじゃ無いの？」
深澤のその問いかけには、答えられなかった。
今だってずっと、Aが好き。
だからこそ、深澤の問いかけにはまだ返事ができないでいる。
…こんなに拗らせるなら、いっそ絶縁したいって何度思ったことか。
いつの日かそう言った気がするけれど、本当にその通りだと思う。
なのに、何かと理由をつけて、Aと会いたがる自分がいる。
29歳の春。ふっかと呑んでいる金曜日。
いつも通りAは、俺らのいる居酒屋にやってきた。
カラカラと開いた扉から顔を覗かせて、「ごめん遅くなった」と、笑っている顔は相変わらず可愛かった。
白くて艶やかな肌も、黒くて綺麗な髪も、優しい瞳も、綺麗な鼻筋も、薄く伸びた唇も、ずっと時が止まっているままみたいに綺麗だ。
「おーす」
「おつかれ」
と呟いた俺らを交互に見て、Aは俺の隣にいつものように座った。
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みるく?(プロフ) - minmin様 終わらせて、マイジャーニーすごく良かったです。お互いがひっそりと恋してるのにきゅんとしました。最後の終わり方にもドキドキしました！これからも楽しみにしてます。 (10月17日 21時) (
レス) @page32 id: d41930f707 (このIDを非表示/違反報告)
minmin(プロフ) - はみさん» はじめまして！コメントありがとうございます^_^ これからも楽しんでいただけるよう、頑張りますね！ (2022年3月18日 2時) (レス) id: 1eb423545c (このIDを非表示/違反報告)
はみ - 作者様、いつも作品見ています！はじめまして、はみです！作者様の作品は全て見てるのですが、推しの💙さんの作品ができて大歓喜です。文才がえぐい😭更新楽しみにしてます！ (2022年3月17日 20時) (レス) id: 846f01110c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：minmin
| 作成日時：2022年3月14日 3時
