成功作の兄、失敗作の妹 (ページ22)

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No.22 ページ22

目が覚めるとそこは病院だった

白い天井に病院特有の匂いがする

左手が暖かくてふとそちらを見るとお兄ちゃんが私の手を握って寝ていた

(ごめんなさい)

自分の力でなんとかできるって思ってしまった

そんなことして怪我までして、周りの人巻き込んでいい迷惑だ

お兄ちゃんの髪をサラッと撫でる

サラサラすぎて毟りたくなってきた…。

｢…ん、A？｣

私が頭を触りすぎたのかお兄ちゃんは目を覚ました

体を起き上がらせ目がしっかり開いたと思ったらどんっと言う振動が体に響いた。

｢あんな無茶するな、心臓止まるかと思った｣

｢…ぁ…。｣

ごめんなさい。と声を出そうとしたけど出なくて

その代わりに背中をトントンと叩いた

｢声、でないよな。痛くないか｣

痛くはないと首を横に振る

ナースコールで看護師さんを呼んだお兄ちゃんは姉さんに連絡してくると言って外に出て行った。

パパに連絡じゃないのかお兄ちゃんらしい…

お医者さんが来て私の診察を一通り終わらせた。

｢首、喉だけを綺麗に火傷していますね。
声は1ヶ月もすれば良くなるでしょう｣

お医者さんはあと一つ言いにくそうに言葉をこぼした

｢首の火傷のあとですが、残るでしょう｣

そんなことはナイフを溶かすと決めた時に決心していた。

高い温度の熱にずっと当たっていて残らない方がおかしいだろうから

声が出なくなるくらいで済んでよかった

そんなことお兄ちゃんに言ったら怒ってくれるのかな