僕らのメイク担当は

復讐のヌナ ページ5

TH side


ガタガタと騒がしいメイクルームに嫌な予感がした。


女 ｢なんで、なんでアンタなんかが！！｣


次々と物が落ちる音がして、俺は慌ててそのドアを開けた。


その光景を見て、俺は絶句した。


たくさんのメイク道具や、本などが散乱している中に、ポツンとたたずむAヌナ。


その額からは血が流れていて、体のあちこちにも傷を負っていた。

女 ｢あ、テヒョンさ･･･ちが、これは･･･｣


見ると、以前の問題だったメイクのヌナだった。


JK ｢Aヌナ･･･？？え、ちょっと、なにこれ･･･｣


女 ｢違うの！！ちが、ご、ごめんなさい、｣


ヌナに近づくと、大丈夫ですよ、と微笑まれた。
こんな状況でも冷静に振る舞う彼女に、胸がズキズキと傷んだ。


Aヌナは、ごめんなさい、と繰り返すヌナに近づく。

ビクッと体を揺らしたヌナは、涙をボロボロと流した。


正直、なんでお前が泣いてんだとか、Aヌナを傷つけた怒りでいっぱい言いたいことはあったけど、Aヌナが泣きじゃくるヌナを抱きしめたのを見て、言葉を失う。


Aヌナに、危機感というものはないのだろうか


なにが起こったかわからないヌナは、俺たちと同様に目を見開く。


｢大丈夫です。私、オンニがたくさん努力してたこと知ってますよ。｣



ぽんぽんと落ち着かせるように背中を撫でるAヌナは、子供をあやすお母さんのようだった。


｢ちょっとやり方を間違えちゃっただけです。オンニなら、きっとまた、やりなおせますよ｣


優しく、落ち着いた声と、泣き声が響き渡る。


女 ｢生意気っ･･････｣


さっきまで怒っていたヌナも、Aヌナにすがりついて泣いていた。


騒ぎを聞きつけたのか、次々と部屋に入ってくるメンバー達。


何があったのか聞くと、Aヌナは、


｢なんか地震きましたよ｣


と、4次元的な発言をした。


JM ｢じ、地震？｣


JK ｢ぶはっ！！！｣


TH ｢ぶふっ！！｣


堪えきれなくて吹き出してしまう。


｢この部屋だけきてたんです｣


本気で、それで誤魔化そうとしてるAヌナがおもしろくて、かわいくて。


マネ｢え？え？本当ですか？テヒョンさん｣


TH ｢うん。なんかすごい揺れた｣


仕方ないから、今回だけはAヌナに乗ってあげることにした。

JK ｢びっくりしたね、あれは｣


3人だけ別次元に行ってしまったかのようにおかしなことを口走る。






これは、3人だけの秘密だ。

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