朝ぼらけ ページ8
夜明けも近くなってきた頃、じんわりと周りが明るくなってくる。
どこかで犬が鳴いているようだ
小さく聞こえる犬の声に耳を済ませて外を見る
街が起き始めている
そうAは思った
また息をし始めて、活動をしだすんだ
どこか爽やかな光に包まれて
また人間は1日を過ごしていく
周りの客は帰ってしまい残すは中也だけになってしまった。
『そろそろ閉めようかしら』
そう言えば「そうだな」と言いお金をカウンターに置く
帽子を被り直して外套を肩にかければ少し背伸びした彼に、心の中で帰って欲しくないと思った
少し引き止めたいかも、でもそんなわがまま言っちゃ駄目よね
伸ばしかけた手を引っ込めて、私は掃除を始めた
演奏者達も帰っていき、中也も帰っていく
『またきてね』
「おう」
微笑み手を振れば、手を振り返してくれて扉が閉まる
『好きなのに』
でも付き合っちゃいけない。そんなことなんて分かってる
相手はマフィアの幹部
私なんて只の店主
地位が邪魔してくるけど、仕方の無いことだし。
私は半ば諦めたように掃除を進めていく
朝日が段々お店の中を照らしてきた
明るい
そして眩しい
私はそんな明るい世界で生きてはいない
周りのグラスを朝日が輝かせる
夕暮れとは違う朝日が作る影に目を細めて私は掃除を終えた
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おやすみ
お店に小さくそう告げて、私はお店を後にした
「A」
道路に止められた高級そうな車
そこから声をかけられれば足を止めてふと見つめる
「送ってく」
『中也、いいの？』
先に帰ったはずの中也は態々此処で待っていてくれたのだろう。
嬉しくて頬が緩むのを隠し、ありがとうと言えば車に乗りこんだ
毎日だ
毎日こうして中也は送ってくれる
本当に、周りから見たら私達の関係なんて可笑しくて仕方が無いんだろうと思った
恋人でもないのに、こんなことして。
朝日が登ったばかりの朝は静かで、霧は朝日やまだ灯っている街頭に反射して存在感を増していく
見慣れた街を走り抜けていき
馴染みのあるマンションの前に車が止まった
どうしてこんなに早いんだろう
もう少し一緒にいたかった
『中也、いつものお礼がしたいから上がって』
服を掴んですこし強請る
「…わかった」
断られると思っていたからその言葉が返ってくれば
私は一気に気持ちが高ぶった
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やつがれちゃんです - このお話すごい刺さりました。切ない感じだけど、二人互いを思ってるところにうるうるきちゃって、、、 もうほんと神作品ありがとうございます (2021年5月5日 22時) (
レス) id: 2064407b9e (このIDを非表示/違反報告)
凪 - はい！(о´∀`о)付き合わせていただきます！これからも頑張ってください(*´∀｀*) (2018年5月7日 0時) (レス) id: a5de77afb3 (このIDを非表示/違反報告)
きゅぅ(プロフ) - 凪さん» 勿体無いお言葉本当にありがとうございます！！まさか感情表現にも気にしてくださるとは…！書いていてよかったです(泣)もう少しこの二人の物語にお付き合い下さい！嬉しいお言葉本当にありがとうございました！ (2018年5月6日 14時) (レス) id: 6ffc724346 (このIDを非表示/違反報告)
凪 - 中也好きにはたまらないお話ですね切ない気持ちなどの感情表現が素晴らしかったです(о´∀`о) これからも応援してます (2018年5月6日 11時) (レス) id: a5de77afb3 (このIDを非表示/違反報告)
音無侑音(プロフ) - きゅぅさん» こちらこそ、コメントが返ってくるだなんて思ってもいませんでした(´；；｀)読んでいただき、有難う御座います。いえいえ、もっと気の利く言葉をかけられたらなと思っていました…（汗）はい、最後まで二人の成長に付き合わせてもらいますね！（笑） (2018年5月1日 19時) (レス) id: d3c1a7a9fb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：きゅぅ | 作成日時：2018年4月1日 15時
