子守唄 ページ46
あったかいなぁ
優しく撫で続けてくれる中也の手のひらに自分の頬を擦り寄せて緩く微笑めば中也も微笑み優しく名前を呼んでくれる
『ねぇ中也』
「ん…？」
『眠たいの？』
「んん…」
あったかい体温にもしかして眠たいのかと問えば
段々うつらうつらとしてくる目の前の愛しい人
眠ったら？と言えば中也は少し寝ぼけたまま私の手の拘束を外した
『なぁに？頭撫でてほしいの？』
「その通り」
ふは、と笑う彼に仕方ないなぁと頭を撫でれば中也は気持ちよさそうに瞳を閉じる
周りをよく見れば建物は半壊していて
大きな満月が顔を出している
膝枕をしたまま中也の髪を優しく撫でれば
月光に照らされた綺麗な髪はさらさらと音を奏でそうだった
「…A」
瞳を閉じたまま呟くその声に小さく返事をして
1つ、深呼吸
そしてもう1回
大きく息を吸い込めば、私は小さく歌い出す
彼が休めるように
疲れが取れますように
子守唄のように優しく頭を撫でて歌いながら
愛しい人のためだけに送る歌
私の歌声が聞こえた中也は小さく微笑み
その直後に規則正しい寝息が聞こえ出す
大好き
ううん、愛してる
歌姫と呼ぶのは貴方だけでいいわ
貴方だけの歌姫でいたいから
「君が中也の歌姫かい？」
すると歌っている途中に声が重なる
私が声のした方を見ればコートをたなびかせて砂埃を手で払う姿
中也の知り合い？
『貴方は誰？』
「太宰治だよ、よろしくねAちゃん」
『どうして私の名を？』
「中也がずっと呼んでたから覚えるさ」
『ふふ、そう』
私がずっと中也の名を呼んでたのと同じね
眠っている中也の頭を撫でながら微笑めば太宰と言った男はそばに腰を下ろす
「中也なんか放っておけばいいのに、いつもこうやってすぐ眠る浪漫も何も無いやつだよ？」
中也の鼻をつまむ太宰は声のトーンは不機嫌そうでも瞳は全然不機嫌そうじゃない
『いいの、私がこうしたいから』
鼻をつままれ眉間に皺が入る中也にくすりと笑ってしまう
「本当に相思相愛だねぇ」
『あら、私の一途じゃ無いって思っていいの？』
「勿論。私が保証しておくよ」
『心強いわ』
互いにくすくすと笑えば彼は「さてと」と言いゆっくり腰を上げる
「そういえばここに来た時ある女性を捕まえたのだけれど」
女性
あの女か
どうする？と太宰に聞かれ私は迷うこと無く答えた
『逃がしてあげて』
太宰は「だと思ったよ」と緩く微笑む
檻から出られ無かったのは私だけじゃないから
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やつがれちゃんです - このお話すごい刺さりました。切ない感じだけど、二人互いを思ってるところにうるうるきちゃって、、、 もうほんと神作品ありがとうございます (2021年5月5日 22時) (
レス) id: 2064407b9e (このIDを非表示/違反報告)
凪 - はい！(о´∀`о)付き合わせていただきます！これからも頑張ってください(*´∀｀*) (2018年5月7日 0時) (レス) id: a5de77afb3 (このIDを非表示/違反報告)
きゅぅ(プロフ) - 凪さん» 勿体無いお言葉本当にありがとうございます！！まさか感情表現にも気にしてくださるとは…！書いていてよかったです(泣)もう少しこの二人の物語にお付き合い下さい！嬉しいお言葉本当にありがとうございました！ (2018年5月6日 14時) (レス) id: 6ffc724346 (このIDを非表示/違反報告)
凪 - 中也好きにはたまらないお話ですね切ない気持ちなどの感情表現が素晴らしかったです(о´∀`о) これからも応援してます (2018年5月6日 11時) (レス) id: a5de77afb3 (このIDを非表示/違反報告)
音無侑音(プロフ) - きゅぅさん» こちらこそ、コメントが返ってくるだなんて思ってもいませんでした(´；；｀)読んでいただき、有難う御座います。いえいえ、もっと気の利く言葉をかけられたらなと思っていました…（汗）はい、最後まで二人の成長に付き合わせてもらいますね！（笑） (2018年5月1日 19時) (レス) id: d3c1a7a9fb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：きゅぅ | 作成日時：2018年4月1日 15時
