笑顔【中也side】 ページ27
「中也くん、少しいいかな」
任務をそつなくこなした俺はすぐ首領に呼び出され何事かと内心冷や汗が流れた
とうとうAのことがバレたか
BARに行きた過ぎて浮かれてたのがバレたのか
何がダメだった
理由を考えろ
必死に頭を働かせながら首領の部屋に入っていく
大きな椅子に座り微笑んでいる首領が今は怖い
その口からなんの言葉が発せられるのか
「ねぇ中也くん」
「は、はい」
あ、声が裏返った
焦りすぎだろ俺
首領はそんなこと気にもせず言葉を続ける
「実はね」
ゴクリ、唾を飲みこみ覚悟を決める
「君に許嫁が出来たんだ」
「は?」
まさかの予想外な言葉
てかなんて言った?許嫁?俺に?
「首領、お言葉は嬉しいのですが…」
「実はね、その娘さんがいる会社はたくさんの上納金を出してくれていてね、これを断れば今後その会社がどうなるのか…」
それも、君もいい歳だろう?
結婚してもいいと思うんだ
ニコニコしながらいう言葉が胸に刺さる
首領、俺…恋人いるんです
「それに中也くん恋人いないでしょ」
グサリ
「いや、ま、はぁ」
「じゃあ丁度いい。許嫁の相手はこの前会った娘さんだよ」
「いや、首領…」
「断る理由があるのかい?」
笑顔なはずなのに
何でこんなに怖いんだ
「真逆中也くん」
ギシリと椅子が音を奏でて首領は立ち上がる
「よくBARに行っているけどあそこのママと付き合ってるとか?」
グサリグサリ
「……いや…」
「そうだよねぇ、真逆幹部の君が管轄で働いてるBARのママと付き合うなんてこと、他の部下に知られたら困るもんね」
変なこと聞いてごめんと笑うその姿が今は恐ろしくて仕方が無い
知っていた
俺とAじゃ本当に許されている恋ではないことも
わかっていたが
俺が幹部じゃなければ良かったと今すごく後悔している
「それじゃあ今度実際に会って話してきてね」
会う場所の住所が書かれた紙を渡されて部屋から出される
どうする俺
許嫁を断るしかない
しかし断ればその会社がどうなるのか…いや、俺の知った事じゃねェし
然し首領が黙っていないだろうな
俺とAの関係がバレれば首領がBARに乗り込むかもしれない
それは困る
俺の血生臭い所などAに見せたくはないのに
なら大人しく許嫁に…
「いやいや絶対無理だ、A以外なんか受け付けねェ」
結婚なんて絶対無理だ
溜息をつきながら紙を見れば日付は今日になっている
おいおいマジか
俺はまたため息をついた
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やつがれちゃんです - このお話すごい刺さりました。切ない感じだけど、二人互いを思ってるところにうるうるきちゃって、、、 もうほんと神作品ありがとうございます (2021年5月5日 22時) (レス) id: 2064407b9e (このIDを非表示/違反報告)
凪 - はい!(о´∀`о)付き合わせていただきます!これからも頑張ってください(*´∀`*) (2018年5月7日 0時) (レス) id: a5de77afb3 (このIDを非表示/違反報告)
きゅぅ(プロフ) - 凪さん» 勿体無いお言葉本当にありがとうございます!!まさか感情表現にも気にしてくださるとは…!書いていてよかったです(泣)もう少しこの二人の物語にお付き合い下さい!嬉しいお言葉本当にありがとうございました! (2018年5月6日 14時) (レス) id: 6ffc724346 (このIDを非表示/違反報告)
凪 - 中也好きにはたまらないお話ですね切ない気持ちなどの感情表現が素晴らしかったです(о´∀`о) これからも応援してます (2018年5月6日 11時) (レス) id: a5de77afb3 (このIDを非表示/違反報告)
音無侑音(プロフ) - きゅぅさん» こちらこそ、コメントが返ってくるだなんて思ってもいませんでした(´;;`)読んでいただき、有難う御座います。いえいえ、もっと気の利く言葉をかけられたらなと思っていました…(汗)はい、最後まで二人の成長に付き合わせてもらいますね!(笑) (2018年5月1日 19時) (レス) id: d3c1a7a9fb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:きゅぅ | 作成日時:2018年4月1日 15時