良い子【中也side】 ページ25
車のエンジン音と風を切っていく音だけが車内に響く
これからまた仕事だと考えれば少し憂鬱な気持ちになるものの、頭の中はAのことでいっぱいだった
『中也』
「……くそ」
あんな可愛い声で呼ぶなよ
黒い手袋で自分の口を隠せば少し頬が赤くなるのがわかる
なんであんなに可愛いんだ
てかAがいるだけで世界がキラキラして見える
それよりもAがキラキラして見える
「重症だな」
軽く鼻で笑えば目の前の信号機が赤になり止まった
重症なのは自分でもわかってる
それでもこの気持ちは止められないし止めるつもりもない
「Aが、マフィアに入るのは…」
そう言いかけて自分の言葉を飲み込んだ
ダメだ
Aはマフィアに入ることを望んでない
それなのに無理やり入れてしまえば嫌われる
それに
暴力が日常の俺の世界など、Aはきっと嫌うだろう
だからこれでいい
内緒でいいんだ
いけない恋なんて分かってる
そんなの俺が1番わかってンだよ
「でも…」
ギリ…
ハンドルが強く握られ車はライトをつけ走りだす
「傍に居たいンだよ…っ」
例え時間が限られていたとしても
今だけは
今だけは傍に居させて欲しい
それ程Aに惚れたんだ
恋のキューピッドは俺の胸目掛けて何本の矢を放ったのか
Aの態度、仕草、言葉全てに胸を打たれてしまう
神は俺に惚れ薬でも仕組ませたか
１回の短いキスでもガッツポーズしたくなるくらい嬉しい
「キスか…」
そういえば
車から降りる直前でキスした時、Aの鼓動も早かったな
あの真っ赤な顔、超可愛かった
トスリ
あ、また俺の胸に矢が刺さった気がする
やべェな
またキスしたくなってきた
あの
可愛い滑らかな肌に触れて
マシュマロのような頬に手を添えて
サラリと音を奏でそうな髪を耳にかけてやって
宝石のようなキラキラと輝く瞳を見つめて
柔らかくて甘い唇を塞いで
その後耳元で愛の言葉を囁いてやりたい
そして緩く抱きしめてAのあの甘い香りを俺の肺いっぱいに溜め込んで
血の香りと煙草の香りで満ちていた俺の肺をAの香りで一掃させたい
「嗚呼」
会いてェな
今すぐにでもUターンして
あの扉を勢いよく開けて
抱きしめて…
そんなことしたいと思いながらも車は良い子でビルに向かう
「ああぁぁぁ……会いてぇぇぇえ」
俺は嘆きに似た言葉を吐きながら
今日も良い子に任務を遂行する
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やつがれちゃんです - このお話すごい刺さりました。切ない感じだけど、二人互いを思ってるところにうるうるきちゃって、、、 もうほんと神作品ありがとうございます (2021年5月5日 22時) (
レス) id: 2064407b9e (このIDを非表示/違反報告)
凪 - はい！(о´∀`о)付き合わせていただきます！これからも頑張ってください(*´∀｀*) (2018年5月7日 0時) (レス) id: a5de77afb3 (このIDを非表示/違反報告)
きゅぅ(プロフ) - 凪さん» 勿体無いお言葉本当にありがとうございます！！まさか感情表現にも気にしてくださるとは…！書いていてよかったです(泣)もう少しこの二人の物語にお付き合い下さい！嬉しいお言葉本当にありがとうございました！ (2018年5月6日 14時) (レス) id: 6ffc724346 (このIDを非表示/違反報告)
凪 - 中也好きにはたまらないお話ですね切ない気持ちなどの感情表現が素晴らしかったです(о´∀`о) これからも応援してます (2018年5月6日 11時) (レス) id: a5de77afb3 (このIDを非表示/違反報告)
音無侑音(プロフ) - きゅぅさん» こちらこそ、コメントが返ってくるだなんて思ってもいませんでした(´；；｀)読んでいただき、有難う御座います。いえいえ、もっと気の利く言葉をかけられたらなと思っていました…（汗）はい、最後まで二人の成長に付き合わせてもらいますね！（笑） (2018年5月1日 19時) (レス) id: d3c1a7a9fb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：きゅぅ | 作成日時：2018年4月1日 15時
