逢引 2 ページ19
デート、とは一体何をすればいいんだろうか
『中也』
「ん?」
『どこ行くの?』
「ドライブだドライブ」
ドライブ…
ドライブって、あの車で遠くまで行ったりするドライブ??
だめだ、全然わからない
中也楽しめてるかしら…
会話も続かないし少し気まずい
どうしようかな、と後ろを見ればふと後ろの方に雑誌が何冊か乱雑に置かれていた
『絶対、成功する…デート…?』
雑誌の題名を呟けば少し揺れる車体
慌てて中也の方を見れば顔が真っ赤になっていて口をぱくぱくと動かしていた
『中也、これ』
「い、いやぁ、立原のやつが置いてったんだよ」
『付箋たくさん貼ってるけど』
「彼奴成功したらいいなァ、あはは…」
沈黙
『…中也』
「…はい」
赤の信号機で止まれば観念したように中也が小さい声で返事をした
『…私だけが浮かれてるわけじゃないって、信じてもいい?』
中也もデートに浮かれてた
しかも私にデートしようって誘う前から、こんな雑誌を買って浮かれてたんだ
嗚呼、嬉しい
必死に口元が緩みそうになるのを手で隠す
「A」
中也の言葉に運転席の方を見れば綺麗な顔が近くにあった
『っ!』
「Aも、浮かれてたのか?」
ギシリ
中也の香りが強くなる
クラクラしそうだ
『…してたわよ、鏡とにらめっこだってしたんだから』
「ふは、なんだそれ…近くで見たかったな」
優しく笑い小さい子をあやす様に頭を撫でられれば信号が青に変わった
途端に離れる中也の香り
キス、されるかと思った…
期待していた自分がいたことに首を振って否定をする
いやいやいや、キスされたいって私今無意識に思ってたの?
危ない、声に出すところだった
1人モンモンと考えていれば隣からまた笑い声が聞こえた
「また信号機に引っかかったら沢山キスしてやるよ」
目が合えばにやりと笑われる
『え』
「嗚呼ほら、信号機が赤になったな」
『ちゅ、ぅや』
「ん?」
『キス、したいの』
「…それ反則」
リップ音と互いのくぐもった声が静かな車内に響いた
周りの事なんて気にせずに何度も何度も口付けを交わす
信号機が変わらなければいいのに
そんなことを思いながら私はきゅっと中也の服を握りしめた
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やつがれちゃんです - このお話すごい刺さりました。切ない感じだけど、二人互いを思ってるところにうるうるきちゃって、、、 もうほんと神作品ありがとうございます (2021年5月5日 22時) (レス) id: 2064407b9e (このIDを非表示/違反報告)
凪 - はい!(о´∀`о)付き合わせていただきます!これからも頑張ってください(*´∀`*) (2018年5月7日 0時) (レス) id: a5de77afb3 (このIDを非表示/違反報告)
きゅぅ(プロフ) - 凪さん» 勿体無いお言葉本当にありがとうございます!!まさか感情表現にも気にしてくださるとは…!書いていてよかったです(泣)もう少しこの二人の物語にお付き合い下さい!嬉しいお言葉本当にありがとうございました! (2018年5月6日 14時) (レス) id: 6ffc724346 (このIDを非表示/違反報告)
凪 - 中也好きにはたまらないお話ですね切ない気持ちなどの感情表現が素晴らしかったです(о´∀`о) これからも応援してます (2018年5月6日 11時) (レス) id: a5de77afb3 (このIDを非表示/違反報告)
音無侑音(プロフ) - きゅぅさん» こちらこそ、コメントが返ってくるだなんて思ってもいませんでした(´;;`)読んでいただき、有難う御座います。いえいえ、もっと気の利く言葉をかけられたらなと思っていました…(汗)はい、最後まで二人の成長に付き合わせてもらいますね!(笑) (2018年5月1日 19時) (レス) id: d3c1a7a9fb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:きゅぅ | 作成日時:2018年4月1日 15時