隣の部署の中間さん【黄】 (ページ1)

今日:3 hit、昨日:0 hit、合計:891 hit

01 ページ1

.

「A～、これマーケ部に持ってって！」
『はーい』

社会人なって早3年。
そこそこ大手の企業に就職して、研修を受け配属された先は企画部。

なかなか残業も多くて大変だけど、部署の人はいい人に恵まれたし、仕事自体は楽しく、やりがいがあるので今のところは転職は考えていない。

…あと、お給料もいいしね。

上司から資料を受け取り、企画部の横にある情報マーケティング部、略してマーケ部へおつかいをする。

『失礼します、〇〇部長はいらっしゃいますか？』

部屋に入ると人はまばらで、タイミングを間違えたことを悟る。
会議中だったか…と思い、またあとで来ようと踵を返すと、

「それ、渡しておきましょうか？」
『あ、えっと…』

マーケ部を出ようとすると、外回りから帰ってきたのか、
コートを着た男性が声をかけてきた。

(あ、この人…)

「？どうされました？」

(毎朝エレベーターで見かける人だ…)

『あ、いえ、じゃあすみませんがお願いします。
　えっと…？』

毎朝私が一方的に見かけているだけで、名前はわからない。

黄「あ、僕中間淳太といいます」
『中間さん…あ、私Aといいます』
黄「Aさんですね、伝えときます」

中間さんはそういうと、微笑みながら資料を受け取ってくれた。

『よろしくおねがいします』
黄「いえいえ、この後の業務も頑張りましょうね」

中間さん、いい人だな…。
そう思いながら、マーケ部を出た。

.