113話 治崎SIDE ページ8
一目惚れ――だった。
白よりも白い、その存在に、俺は心を奪われた。
真っ白な肌。 真っ白な髪。 真っ白な服。 真っ白な包帯。
その真っ白な姿にとても映える、綺麗な青い瞳。
普通は醜く感じる頬の紫陽花のような痣も、とても美しく感じた。
ああ、彼女に繋がれている管が邪魔だ、とても…とても。
「Aはここに入院しているんだね。 事故にあったのかい？」
「はい、そうなんです。 治崎さんは、どうしてここに？ もう診療の時間は過ぎてますよね」
Aは時計を指差し、微笑む。
時刻は9時40分を回っていた。 俺は面会さ。 と適当に嘘を吐いた。
彼女は興味を持ったように両手を口の前にあわせる。
「へえ！ 誰かのお見舞いですか？ でも面会時間はとうに過ぎてますよね」
痛いところを突かれる。
「……仕事が長引いてね。 病院からは許可をもらってるんだ」
そうなんですか。 と笑うA。
穢れを知らなそうな純粋無垢な笑顔。
彼女が笑うたびに、心が満たされていく。
もっと彼女と話したい。
もっと彼女に触れていたい。
俺は手袋を取り、彼女の右手首に触れた。
――と、表情を歪ますA。
ああ、痛いよな…ごめんな。 少しだけ…
「我慢して」
「っ……え、手、動い…」
俺は個性を使い、Aの手首を治す。
怪我をしている、とは言っていたが骨折だったようだ。
俺は左足にも触れる。
「……貴方の、個性って」
不思議そうに首を傾げるA。
治された左足と右手首を交互に見て驚いている姿がとても可愛かった。
……特別に、教えてあげようかな。
「…俺の個性は“修復”だよ。 珍しいだろ？」
―――とはいっても全ては教えないけど。
悪いな。 触れたいしもっと話してはいたいけど、全てを教えるのはよくないと思うんだ。
“穢れを知らない”君は、そのままでいい。
そう思ったのは、無意識にAに触れたことが関係した。
いつも起きる、蕁麻疹が起きなかったのだ。
そして思った。 ああ、彼女は綺麗な人間なのだと。
「A、今度は病院以外で会おう」
俺と君だけで。
もう一度頬に触れ俺はにっこりと笑った。
そして俺は踵を返し、病院を後にした。
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彼岸花(プロフ) - メルさん» 感謝の極みです…！ こじらせかっちゃんが好きなんです（私の意思）。 早くくっつけたいです← (2017年9月17日 21時) (
レス) id: 1f046206e1 (このIDを非表示/違反報告)
メル - もちろん愛読してます！かっちゃんこじらせてますね…！ かっちゃんの気持ちに夢主ちゃん、早く気づいてほしいです！ (2017年9月15日 20時) (レス) id: 608e63a3e5 (このIDを非表示/違反報告)
彼岸花(プロフ) - メルさん» ありがとうございます！ これからも御愛読していただけたらうれしいです！ (2017年9月12日 22時) (レス) id: 1f046206e1 (このIDを非表示/違反報告)
メル - わあああっ、夢主ちゃんのギャップ可愛いです…暴言はいてたりみんな守ろうと突っ走ったり…でも一人でいたりすると怖がったりするところとか…すごくいいです！ 更新楽しみにしてますっ♪ (2017年9月12日 15時) (レス) id: 608e63a3e5 (このIDを非表示/違反報告)
彼岸花(プロフ) - 庵さん» ありがとうございます！ 今後も見てくださいましたらうれしいです！ (2017年9月12日 1時) (レス) id: 1f046206e1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：彼岸花 | 作成日時：2017年9月10日 1時
