111話 夢主SIDE ページ6
「これでよかったかい？ はい、どうぞ」
そう言ってペストマスクの男性がぼくにタピオカカフェラテと書かれた容器を差し出す。
ぼくはありがとうございます。 とそれを受け取ろうとした。
しかし受け取ったはずのソレは無情にも落下する。
カコッと容器がへこむ音が聞こえた途端、ぼくは変な汗をかいた。
「(アレッ、なんで…受け取り損ねた…!?)」
激しく困惑する。
男性は無言でソレを拾い上げ、ぼくの手を見つめる。
わざとじゃないんですよ、ほんと。
オロオロとしていると、男性は容器に付属されているストローを差し込み口にさし、ぼくの左手側にカフェラテを渡してきた。
「ごめん、気が回らなくて。 …右手、怪我してるんでしょ？」
「…あ、ほんとだ」
気がつかなかった…。
ボソッとそういうと男性はクス、と笑った。
「自分のことなのに？」
「え、あ…その、自分のことだからこそというか、なんというか」
戸惑ってそういうと、男性はまた笑った。
何ソレ、変わってるね君。 と。
少し恥ずかしくなって口元を感覚のない右手で押さえる。
そして違和感に気づいた。
「ぅえ？ マスクしてない」
変な声が出る。
今の今まで気がつかなかった。 狐面どころか半面すらしていない。
さっきまで寝ていたからつけていないことにはつけていなかったのだろうけど…病室にもなかったし、一体どこにやった？
一人で焦っていると、男性は首をかしげた。
「マスク？」
「……はい…どこかで落としたのかな……」
思い当たるところがない。
……いや、一つだけ。 もしかしたら敵と交戦していたときに落としたのかも。
あー…と声を出しながら、目から下…主に痣のある頬を隠しカフェオレを啜る。
「それがないと、ダメなのかい？」
男性の言葉に、一応。 と答える。
「理由は色々あるんですけど、この痣…醜いし、自分の顔嫌いだらッスね…」
何より本名プラス顔出しは、メディアにたかられるからNG。
まあないものは仕方ない。
ぼくは諦めて手を離しカフェラテを飲む。
すると男性はぼくの頬の痣に手を置き、目を細めた。
「俺は―――凄く綺麗だと思う」
男性の綺麗な琥珀色の瞳には驚いた表情をしたぼくが映っていた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 109人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
彼岸花(プロフ) - メルさん» 感謝の極みです…！ こじらせかっちゃんが好きなんです（私の意思）。 早くくっつけたいです← (2017年9月17日 21時) (
レス) id: 1f046206e1 (このIDを非表示/違反報告)
メル - もちろん愛読してます！かっちゃんこじらせてますね…！ かっちゃんの気持ちに夢主ちゃん、早く気づいてほしいです！ (2017年9月15日 20時) (レス) id: 608e63a3e5 (このIDを非表示/違反報告)
彼岸花(プロフ) - メルさん» ありがとうございます！ これからも御愛読していただけたらうれしいです！ (2017年9月12日 22時) (レス) id: 1f046206e1 (このIDを非表示/違反報告)
メル - わあああっ、夢主ちゃんのギャップ可愛いです…暴言はいてたりみんな守ろうと突っ走ったり…でも一人でいたりすると怖がったりするところとか…すごくいいです！ 更新楽しみにしてますっ♪ (2017年9月12日 15時) (レス) id: 608e63a3e5 (このIDを非表示/違反報告)
彼岸花(プロフ) - 庵さん» ありがとうございます！ 今後も見てくださいましたらうれしいです！ (2017年9月12日 1時) (レス) id: 1f046206e1 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：彼岸花 | 作成日時：2017年9月10日 1時
