126話 夢主SIDE（精神世界） ページ24
黒い空間。
いつも通り、上も下も、右も左もないそんな空間。
唯一違うことといえば、ピチャン、ピチャンと水滴が落ちるような音が響いていた。
『どういう風の吹き回し？ “白”』
白、というのはもう一人のぼく…“蒼”がぼくを呼ぶときの名称。
蒼は訝しげにぼくを見つめ、明らか様に警戒をしていた。
そりゃあそうか、普段ぼくからこの精神世界にはいることはないのだから。
「なーに。 別にお前の記憶を消そうとは思ってねえよ。 話を聞きにきただけだ」
『……女狐が』
「てめェも似たようなモンだろ、狸女」
口を開けば喧嘩。
いつものこととはいえ、面倒くさい。
ぼくは軽くあしらい、話を切り出した。
「―――“不安”“恐怖”“敗北感”。 それを強く感じるとお前はぼくと入れ替わりやすくなるんだよな」
『さっき、言った通りだけど』
「じゃあさ」
―――なんで緑谷と対人したとき、入れ替わらなかったんだ？
ぼくの言葉に目を見開く蒼。
ぼくは、蒼とぼくが入れ替わるには何かしらの法則があると思った。
しかしその“法則”は自身への精神的圧迫によるもの。 蒼にそう告げられ少し納得したが……やはり、腑に落ちない点があった。
それが緑谷と対人した、屋内対人戦闘訓練。
あの時…もっといえば前の日からぼくの精神状態はかなり不安定だった。
しかし彼女とぼくが入れ替わることはなく、訓練を迎え、終了した。
それって、矛盾していないか？
「何をたくらんでいるんだ、蒼」
ぼくを消して乗っ取りたいなら、どんな状況でも入れ替わるべき。
なのにそれをしなかった。
まるで―――ぼくが消えることを望んでいないように。
『ただの、気まぐれだよ。 意味なんてない』
「へえ。 そんな気まぐれを頻繁に？ 割とぼく日常的に精神情弱だけど」
『何誇って言ってんの、馬鹿じゃない』
厳しい言葉いうなぁ。
ぼくはにやり、と口角を上げた。
「つーか、蒼お前…炎銃にできんのか。 すげーな」
『いきなり何…できるけど』
やはり、出来るのか。
ぼくはフッ、とまた笑った。
……今までのぼくならどう彼女を消そうか考えていた。
けれど記憶のことといい、ぼくに出来なくて彼女に出来ることを見て確信した。
「なあ、仲良く共存っつーのは、できねえのか？」
『はあ？』
ぼくは、そう提案した。
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彼岸花(プロフ) - メルさん» 感謝の極みです…！ こじらせかっちゃんが好きなんです（私の意思）。 早くくっつけたいです← (2017年9月17日 21時) (
レス) id: 1f046206e1 (このIDを非表示/違反報告)
メル - もちろん愛読してます！かっちゃんこじらせてますね…！ かっちゃんの気持ちに夢主ちゃん、早く気づいてほしいです！ (2017年9月15日 20時) (レス) id: 608e63a3e5 (このIDを非表示/違反報告)
彼岸花(プロフ) - メルさん» ありがとうございます！ これからも御愛読していただけたらうれしいです！ (2017年9月12日 22時) (レス) id: 1f046206e1 (このIDを非表示/違反報告)
メル - わあああっ、夢主ちゃんのギャップ可愛いです…暴言はいてたりみんな守ろうと突っ走ったり…でも一人でいたりすると怖がったりするところとか…すごくいいです！ 更新楽しみにしてますっ♪ (2017年9月12日 15時) (レス) id: 608e63a3e5 (このIDを非表示/違反報告)
彼岸花(プロフ) - 庵さん» ありがとうございます！ 今後も見てくださいましたらうれしいです！ (2017年9月12日 1時) (レス) id: 1f046206e1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：彼岸花 | 作成日時：2017年9月10日 1時
