5話 夢主SIDE ページ7
雄英のシステムは常軌を逸する。
グラウンドに出ろ、と言った意味が良く分かった。
「個性把握テストォッ！？」
声をそろえ、そう叫ぶクラス。
初日からもう仲良しなのね。
右耳で受け、左耳で流しながら面がずれていないかを確認する。
態度からして分かるだろう？ そんなことに驚きはしないし興味もない。
一々驚いていたらこっちの身が持たないだろう。
何せここはあの雄英だ。
突拍子のないことが起こっても仕方ないだろう。
ぼくは黙って先生の話を聞いていた。
そして話は簡単。 中学の頃にやった、個性なしの体力テストを“個性あり”でするだけだ。
まあ個性把握テストと言ったからそんなことだろうとは思っていたが。
「国は未だ画一的な記録を取って平均を作り続けている。 合理的じゃない……まあ文部科学省の怠慢だよ」
たしかにそれは言えてはいる。
しかし人口の2割がなんらかの影響で“個性”を持っていないのもまた事実。
それを改正するのは難しいのではないかな。
なんてつらつらと柄にもなく、難しいことを考えていると、先生がぼくの隣にいる勝己に声をかけた。
「爆豪。 中学の時ソフトボール投げ何ｍだった？」
先生の言葉に、勝己は簡潔に答える。
「67ｍ」
「じゃあ“個性”を使ってやってみろ。 円から出なきゃ何してもいい、早よ」
急かすなぁ。
さすがに先生相手じゃ爆発的みみっちさの勝己も反抗しないだろうけど。
ぼくはボールを手に取り、なじます勝己をぼうっと見ていた。
思いっ切りな。
先生の言葉に、ぼくは苦笑する。
「勝己が中途半端な結果出すわけないじゃん…」
負けず嫌いだしねえ。
ぼくの独り言に、切島は知り合いなんか？ と首を傾げた。
「ああ…幼馴染。 ついでに緑谷も。 小中ともに同じなんだ。 あの二人は幼稚園の頃から一緒らしいけど」
「へえ…」
緑谷と勝己の馴れ初め(？)を語っていると、聞こえたのかキッと勝己がこちらを睨んできた。
うわあ、敵顔負けの表情。
ぼくはいつものことだと適当に掌をひらひらとさせる。
すると勝己は何かブツブツと言ったあと、ボールを構えた。
そして勢いをつけて叫ぶ。
「死ねえ!!!」
……おや？ 勝己さん、それはぼくに向けて言っているのかな？
(他の男と仲良くしてんじゃねえ!!)
爆豪の思いは届かない。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 116人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
彼岸花(プロフ) - 祠妙さん» ありがとうございます！ 続編もあるので末永く見守っていただけたら嬉しいです！ (2017年9月10日 1時) (
レス) id: 1f046206e1 (このIDを非表示/違反報告)
祠妙 - ヤバイコレスキナパティーン。 (2017年9月10日 0時) (レス) id: 376a668e6c (このIDを非表示/違反報告)
彼岸花(プロフ) - 黒武さん» ありがとうございます！ 評価…二つも！ とてもうれしいです！ 本当にありがとうございます！ (2017年8月28日 2時) (レス) id: 1f046206e1 (このIDを非表示/違反報告)
黒武(プロフ) - 聖炎事件、教会が蒼い炎に囲まれる神秘的な風景だな、と。誘拐された子たちからしたら時刻ちゃんがヒーローなのかな、と思いました。ちょっぴり狡いですが、アプリ版とブラウザ版、2回評価してきちゃいました() 満点です。続き待ってますね。時刻ちゃんに幸あれ！ (2017年8月28日 2時) (レス) id: f0ec619330 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：彼岸花 | 作成日時：2017年8月23日 1時
