聖炎事件�� ページ25
多くの人々がAに魅了された。
そこにはかつてAを批判し、殺人犯だと謳ったものもいる。
Aは、ひどく暗い、赤い瞳を皆へ向けていた。
その血の涙を流した姿は、哀愁を漂わせていたが尋常じゃないほどの殺気を纏っていた。
「邪魔だ、退け」
二年ぶりに見た彼女は、とても、とてもやつれてしまっていた。
低く、冷たい声でそうつぶやく彼女は、炎の勢いを強める。
雪が、蒼い炎に包まれより一層輝く。
一歩、また一歩とAが足を進めるたび、青い鉱石はひび割れ、月明かりに照らされ砕け散っていった。
―――ああ、綺麗だ。
きっとあの美しさは誰にも覆せない。
それは、今も、これからも。 覆せはしない。
あの炎での、市民の死傷者は０人。
しかし教会地下では30にも及ぶ敵の焼死体が発見された。
そして今回の事件から二年前の"時刻猟奇殺人事件"にAは関与していないと正式に発表された。
何が最終的にそう断言させたのか。
それはあの"聖炎事件"を目の前で見た者にしか分からない。
邪魔だ、と呟いた彼女は、小さな体で赤ん坊を抱え、叫んだのだ。
「早く、このチビ救けろや、ヒーロー」
―――
―――――――
『皆さん、お聞きいただけたでしょうか。
二年前に誘拐された人気ヒーローの娘、時刻Aちゃんの叫びを。
自身の怪我を顧みず、ヒーローに、自身と血の繋がりのない赤ん坊を助けるよう言ったのです。
その勇気と行動力を警察やヒーローは高く評価し――』
「……はあ、都合のいい奴らだな」
テレビを消し、包帯だらけの男は病室にいるAの頭を撫でた。
Aは、暗い青い瞳を虚ろに揺らめかしている。
「散々お前のことを殺人犯だとか好き勝手言って、Aが生きにくい社会を作ったというのにメディアは本当に勝手だ。 そうは思わないか」
「……大人は、いつだって勝手さ」
Aは、新聞をしばらく見つめ、ため息をついた。
記事に書かれた、政治家の名前。
Aを批判し、殺人犯だと断言した政治家はネットで晒されその結果自 殺してしまった。
一瞬でもAを疑った警察やヒーローは自主退職、または彼女に謝罪の言葉を述べている。
ネットで批判してきた輩も、国外へ行ったとのうわさ。
彼女は、"誰もいない"病室で、窓が開き、揺らめいたカーテンを見つめて、呟いた。
「贋物」
――その、言葉の意図は？
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彼岸花(プロフ) - 祠妙さん» ありがとうございます！ 続編もあるので末永く見守っていただけたら嬉しいです！ (2017年9月10日 1時) (
レス) id: 1f046206e1 (このIDを非表示/違反報告)
祠妙 - ヤバイコレスキナパティーン。 (2017年9月10日 0時) (レス) id: 376a668e6c (このIDを非表示/違反報告)
彼岸花(プロフ) - 黒武さん» ありがとうございます！ 評価…二つも！ とてもうれしいです！ 本当にありがとうございます！ (2017年8月28日 2時) (レス) id: 1f046206e1 (このIDを非表示/違反報告)
黒武(プロフ) - 聖炎事件、教会が蒼い炎に囲まれる神秘的な風景だな、と。誘拐された子たちからしたら時刻ちゃんがヒーローなのかな、と思いました。ちょっぴり狡いですが、アプリ版とブラウザ版、2回評価してきちゃいました() 満点です。続き待ってますね。時刻ちゃんに幸あれ！ (2017年8月28日 2時) (レス) id: f0ec619330 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：彼岸花 | 作成日時：2017年8月23日 1時
