18話 夢主SIDE ページ20
帰宅後、ぼくは家でのんびりとくつろいでいた。
しん、と静まり返る部屋の中、ミルクをカップに注ぐ音だけが響く。
誕生日に緑谷からもらったマグカップ。
白をベースに試験官が描かれており、その試験官には紺と青の宇宙柄が注ぎ込まれたイラストが描かれている。 とてもお気に入りだったりする。
「……あったかい」
コク、と一口飲むと口に広がるほのかな甘み。
ホットミルクは、幼いころから好んで飲んでいた。
昔から、これを飲むととても落ち着く。
ふう、と一息つき自室から用意した学校指定の教科書とノートを机に広げる。
そしてイヤフォンの音を大音量にし、耳に掛けた。
小学校の頃から続けている、ぼくの日課。
「おい、またそれかよ」
さきほどまでぼくしかいなかった空間に、聞きなれた声が響く。
大音量にしてあるはずのイヤフォン。
ぼくはその音の間から声を拾い上げた。
「勝己、不法侵入」
ぼくがそういうと、いいだろ、別に。 とぼくの隣で胡坐をかいた。
いつものことだが、勝己は割とぼくの家に勝手に上がり込む場合が多い。
まあ合鍵を持っているから鍵をあけるなんて容易にできるのだろうが。
「予習とか、真面目か」
「当てられてもパッと答えられるようにね。 当然だろ」
面がないため視野が広い。
ぼくは教科書と向き合い、ノートをとった。
すると横からちょっかいを出してくる勝己。
つんつん、と優しく頬を突いてくる。
……なんだよ、かまってちゃんかよ。
そう思いながらも、ぼくは無視を決め込む。
スラスラと書き進めると、勝己は無視されていることに拗ねたのか背後に回ってぼくの肩に頬ずりをし始めた。
黒のブイネックを着ているため、直接頬が当たる。
くすぐったい。 そういうと今度は首に顔を埋めてきた。
「くすぐったいってー」
「……じゃあもっとくすぐったい感だせよ」
言ってる言葉と声色がかみ合わない。
勝己は不満そうに、後ろからぼくを抱き締めた。
ぼくの背中と勝己の胸がくっつく。
嫌でも勝己の鼓動がわかった。
「ドキドキしてますねー」
「殺す」
「君の素直な"心音"を正直に口にしただけなのに」
理不尽だな。
ぼくは笑った。
勝己は、唇をぼくの首へ押し当てる。
そして無理やりぼくのイヤフォンを取り上げた。
「わざわざ"そんなこと"すんなよ」
ぼくは、面妖に笑った。
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彼岸花(プロフ) - 祠妙さん» ありがとうございます！ 続編もあるので末永く見守っていただけたら嬉しいです！ (2017年9月10日 1時) (
レス) id: 1f046206e1 (このIDを非表示/違反報告)
祠妙 - ヤバイコレスキナパティーン。 (2017年9月10日 0時) (レス) id: 376a668e6c (このIDを非表示/違反報告)
彼岸花(プロフ) - 黒武さん» ありがとうございます！ 評価…二つも！ とてもうれしいです！ 本当にありがとうございます！ (2017年8月28日 2時) (レス) id: 1f046206e1 (このIDを非表示/違反報告)
黒武(プロフ) - 聖炎事件、教会が蒼い炎に囲まれる神秘的な風景だな、と。誘拐された子たちからしたら時刻ちゃんがヒーローなのかな、と思いました。ちょっぴり狡いですが、アプリ版とブラウザ版、2回評価してきちゃいました() 満点です。続き待ってますね。時刻ちゃんに幸あれ！ (2017年8月28日 2時) (レス) id: f0ec619330 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：彼岸花 | 作成日時：2017年8月23日 1時
