16話 夢主SIDE ページ18
「頬の傷の調子はどうだ？」
相澤先生の問いかけに、ぼくは小さくため息をつく。
そして呆れ眼でボソッとつぶやいた。
「そんなことですか。 …なら教室でも話はできたんじゃ」
そのほうが手っ取り早く話が進む。
なおかつ無駄な移動時間を省くことができ、とても時間を有意義に使える。
この先生は一体何を考えているんだ。
「昔のこと、教室で掘り下げんのもなんだろ。 あとで質問攻めに合うだけだ。 そのほうがよっぽど面倒だと俺は思うが？」
「はあ…？ お気遣い感謝します…？」
質問攻めに合おうが無視するだけだけどな。
ぼくは顔面を覆った面を正面に整えた。
ヒーロー学(実技)以外では基本顔をすべて面で覆うようにしている。
実技の時は口元だけを隠す半面をしているのは冒頭の先生の言葉…"頬の傷"を隠すため。
別段自身は気にしていないが、割と目立つためあまり晒さないほうがいいとのこと。
また、敵に狙われないという保証はないから。
生まれ持った"個性"のせいで、ろくな人生を送れていない気がする。
ぼくは指先で髪を弄りながら先生に言葉を返す。
「傷はほとんど。 それよりも、痣が消えないですね」
そう言って面を目がぎりぎり見えない位置まで上げる。
するとその左頬には、ピンクと紫、青の痣がポツポツと、白い肌に浮かび上がっていた。
範囲はそこまで広くないが、色白なため、とても目立ってしまう。
だがそれは、紫陽花のように咲き乱れており、相澤は不謹慎ながらとても綺麗だと思っていた。
「そうか。 ……本来、面は許可できないのだが」
「でしょうね。 でも、ぼくが面を外したら困るのは雄英ですもんね、分かります」
面をもとに戻し、面妖に笑ってみる。 狐の面だけに。
そんなくだらないことを考えていると、先生は黙り込んでしまった。
なんだい、心の中で言ったというのに滑ったのかい？
なんたる理不尽。
「とりあえず許可書は提示しろ。 理由の備考欄には"聖炎事件被害者"とでも書いておけば通ると思うから」
そんな内容で通っちまうのか。 いいのか、雄英。
ぼくは書類を受け取り、うっす。 と締まりのない返事をした。
「ああ、それと。 ヒーロー科入ったからには"個性"はちゃんと使えよ。 仮にもヒーロー目指すために入ったんだから」
ぼくはから笑いをした。
「はは、使う場面ができたら」
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彼岸花(プロフ) - 祠妙さん» ありがとうございます！ 続編もあるので末永く見守っていただけたら嬉しいです！ (2017年9月10日 1時) (
レス) id: 1f046206e1 (このIDを非表示/違反報告)
祠妙 - ヤバイコレスキナパティーン。 (2017年9月10日 0時) (レス) id: 376a668e6c (このIDを非表示/違反報告)
彼岸花(プロフ) - 黒武さん» ありがとうございます！ 評価…二つも！ とてもうれしいです！ 本当にありがとうございます！ (2017年8月28日 2時) (レス) id: 1f046206e1 (このIDを非表示/違反報告)
黒武(プロフ) - 聖炎事件、教会が蒼い炎に囲まれる神秘的な風景だな、と。誘拐された子たちからしたら時刻ちゃんがヒーローなのかな、と思いました。ちょっぴり狡いですが、アプリ版とブラウザ版、2回評価してきちゃいました() 満点です。続き待ってますね。時刻ちゃんに幸あれ！ (2017年8月28日 2時) (レス) id: f0ec619330 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：彼岸花 | 作成日時：2017年8月23日 1時
