ウチの女はわらわない。【ハイキュー!!】 (ページ4)

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さん!!!! ページ4

「A、どうしたの？西谷なんかに話しかけられて」

同じクラスで同じ中学でバレー部だった橘夏樹がそう言う。
端から見ても、私と西谷が話す光景は違和感の塊なんだろうな。

「男子バレー部のマネージャーに勧誘されたけど、流石に無理だよ」

「え。西谷、中学の女バレの事情知らないの？」

「そうみたい。男バレは強かったし、チームワークだってあったから女子なんて眼中に無かったんじゃないの」

皮肉が過ぎるけど、そのくらい私の中学の時の部活は酷かったのだ、私のせいで。

＊＊＊

時は遡って2年前。

「ナイスキー!」

「･････っ」

中学最後の大会。
県代表を決める決勝戦。
相手もなかなかの強豪で、フルセットの対戦となった。

その3セット目が14-12で相手に少しリードされていた時。

相手サーブをリベロの夏樹がしっかり上げ、セッターから名前を呼ばれた。

「A!」

ボールの落下点目掛けて走って、思いきり飛ぶ。

(相手は3枚ブロックだから、インナースパイクにしよう)

そう思い、肩を捻ったとき。

「･･･痛っ･･!!」

今までに無い強烈な肩の痛みを覚え、思わずその場にうずくまった。
ボールは勿論自分のコートにトン、と落ち、相手の得点。

「A？！」「A先輩？！」

コートの中からもベンチからも、私の名前が飛び交う。

私が最後に思ったことは、

「結局、私のせい」

――――肩関節の故障だった。
医務室に運ばれ、そこから病院に運ばれ、緊急手術が終わって病室についたときには、もう仲間がそこに居た。

泣き腫らした目で、こちらを見ていた。

そこで私は、負けたんだ、と悟った。

後から聞いた話だと、私が居なくなってからは完全に相手のペースで、25-16で負けたらしい。

「A、何で"今"なの･････」

同じ3年に言われた言葉。今でも脳裏に焼き付いて離れない。
私に聞かれてもしょうがないよ。私が体に聞きたいよ！

そっからは部活の雰囲気も悪い。
ただ負けた悔しさと、決勝で負けた悔しさ。
そこから呆気なく引退し、当時の頭脳で合格圏だった烏野高校に入った。

肩はリハビリでなおった。
けど、肩が戻ってもあの試合は戻ってこない。

だから、バレーに関わりたくない。
関わってヘマしたら、中3の時の二の舞だ。

＊＊＊

「･･･なんで」

関わりたくないのに。絶対イヤなのに。
気付けば、体育館前に居た。