じゅーさん!!!! ページ15
「西谷?」
そこに居るのは紛れもなく西谷だが、思わず聞いてしまった。なぜここにきたのか。その意味も含めて聞いた。
吹き付けていた風が、妙に暖かくなった。
「謝ろうと思って探したら、ここに居た!」
「謝る・・・・」
「そうだ。さっきは悪かった、不快にさせて」
「別に、大丈夫。私も、ごめん」
こういうのに慣れてなくてついぶっきらぼうにあしらってしまった。
あー、愛想が無い人って辛い。
中学の時はもうちょっとコミュ力高くて愛想も良かったんだけどなぁ。人って、こんな簡単に変わっちゃうものなんだ。
西谷は、私の座っているベンチの端に腰掛けた。
そのまま、時間だけが過ぎる。
葉の揺れる音とたまに通る車の音だけが、この場を成り立たせている。
「・・・・・俺、こう見えても子供ん時はビビりだったんだ」
そして、独り言のように西谷が話し始めた。
いつもうるさい西谷がこんなに静かに話すのは珍しい。
葉が擦れる音も車のエンジン音も、なにも聞こえなくなった。
「でも、克服した」
「・・・・・そうなん、だ」
これが私にできる最大の返事だった。
むしろこれ以外、なんと返答すれば良いのだろう。
「Aさ、笑えないって決め付けてるけど、お前次第でいくらでも笑えるようになると思うぞ!」
「無理だよ。前どうやって笑ったのかすら分かんないし」
「そういう固定ガイネン?があるから出来ないんだろ!俺が今からAを笑わせてみる」
そういって、西谷は私に変顔をしてきた。
面白いけど、笑おうとするとやっぱりひきつった笑みになる。
「んーさっきよりはましだな!」
「KYめ」
空気が軽くなったところで、私たちは別れた。
笑うための指導を受けるとか、色々ツッコミどころ満載だなと後々思ったのはいわないでおこう。
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作者名:カヨ林檎 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/kayo3925/
作成日時:2019年7月20日 10時