じゅーに!!!! ページ14
パタン、では無くダン、と強めに押されたドアを見てため息をつく。
これは、勝手に部屋を飛び出していったAに呆れたことの溜め息なのか、それともAを怒らせた自分への溜め息なのか。
前者なのだと思ったが、後者にしても当てはまる節がある。
・・・・・やっぱり、前者か。
俺は素直に事を言っただけだ。勝手に怒ったAに呆れていただけだ。別に、アイツはただの友達だからな。
でも、何故だか突っかかるものがあった。
ラムネに入っているビー玉のような、塊が。
「りゅーう!」
自問自答した刹那、冴子さんがドアをパタン、では無くダン、と開けてきた。
強く押され続けた可哀想なドアは、ギイギイと音を立てて存在証明をしているかのようだった。
「今さっき女の子が飛び出していったんだけど!アンタ、泣かせたんじゃあないでしょうね?!」
「はぁ?!ちが、泣かせてないし俺じゃ」
「どーみても龍しかいないでしょ、泣かせるの!後でシメるからね」
「え、ちょ」
田中が弁解する間も無く、またドアをダンと強く打ち付け部屋を出ていった。
「おいノヤどーしてくれんだ!濡れ衣着せられたじゃねーか!」
「残念だったな龍」
「A怒らせたのお前だろうが!」
・・・・!
龍の言葉にハッとさせられる。
さっきの答え、変更だ。後者だ。
俺は、放つ言葉を間違えたのだ。その結果、Aを怒らせた。
謝らなければならない、と思った。
これは自分が悪いのだ。
「龍、スマン!お邪魔した!」
「・・・・おー、?」
バッグを取り、龍の家を飛び出す。
冴子さんには「龍は悪くない」と告げて。
***
「はー、さいあく」
近くの公園のベンチに腰掛け、自販機で売っていたココアを飲む。だけど猫舌が響いて火傷した。
悪いのは西谷だ。人のコンプレックスをさらに抉るような発言をしたのだから。
でも、いきなり逆ギレする自分もどうかと思う。今更何いってんだ、って感じだけど。
夜故に涼しいが、夏に近付いてくるのが分かる風の温さだ。
まだ衣替えしていない制服には少し暑さが増してくる。
そして風と共に、タタタと規則的な音が聴こえてくる。どうやら人の足音のようだ。
しかし、だんだん近付いてきたと思ったその音はピタッと止まった。
「A!!」
ん?今名前を呼ばれた気がする。多分空耳では無い。
振り向くと、息を切らした西谷が立っていた。
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作者名:カヨ林檎 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/kayo3925/
作成日時:2019年7月20日 10時