ナポリタンと大型犬 ページ7
「逃げられたぁ？あはは、その子面白いねぇ！！」
今日も今日とて常連さんに相談している私です。
『いや！笑い事じゃないですから！』
生ハムとスモークチーズが載った皿を置きながら、私は泣きそうになった。
いやそんなことで泣きはしないけど、気持ちとしては泣きたいくらい悲しい。
常連さんはまだ笑っていて、マスターも肩を震わせて笑っている。
『もう！みんな私の恋路を笑いすぎ！』
「ごめんごめん、しかしAちゃんはどうしてそんなに彼のことが好きなんだい？」
常連さんからの素朴な疑問に、そういばと考える。顔が好みな訳でもなくて、子供だと思っている高校生で、なんだかとんでもない勘違いをして私から逃げ回っている辺り頭がいいとは思えない。
つまり、私の理想とは真逆のタイプ。
『うーん、なんていうかピンと来たんですよね。あ、この人が好きだ！って』
「へぇ、一目惚れって訳だ。助けて貰って、かっこよく見えちゃった？」
『まぁそれもあるけど、それだけじゃないっていうか……難しいんだけど、臭い言葉で言えば運命感じちゃったんですよね』
「運命か、まぁAちゃんがその場に流されて誰かを好きになるとか、そんなことはしないだろうけどね」
常連さんは「早く話せるようになるといいねぇ」と言ってくれた。応援してるとも、まだスタートラインにさえ立っていないような恋だけど、すごく心強かった。
そこに、二人連れの男が入ってきた。一人は明らかに真っ当な職に就いていないことが伺えたが、もう一人は体こそ大きいがかなり若くてまだ学生のように見えた。
「いらっしゃいませ」
マスターはどんなお客様も同じように迎え入れる。BARの玄関は人を選ばず、お客様は皆平等にしなければならないと。
「ウィスキーロックで、おい智司お前も飲むか？」
片「いえ、自分は……」
「お前変なとこ真面目だなぁ。マスター、ノンアルコールってあるの？」
「ございますよ、こちらからお選びください」
マスターがメニューを差し出す。その子は軽く会釈してそれを受け取ると、じゃあオレンジジュースで、と言った。
隣に座っていた男が大きな声でそれを笑い飛ばすが、私も体に似合わない可愛らしさに笑ってしまった。
常連さんが帰った後も、二人は店に残っていた。店内には他にも数名お客さんがいたけど、カウンターには二人だけだ。
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もも(プロフ) - とても良い作品ですね！また更新しますか？楽しみにしてます！！ (2019年6月26日 22時) (
レス) id: 57906027dd (このIDを非表示/違反報告)
彼方(プロフ) - かなかなさん» 初めまして、コメントありがとうございます！他作品も読んでいただいて嬉しいです、更新頑張ります！ (2018年12月30日 22時) (レス) id: 93a2639ec6 (このIDを非表示/違反報告)
かなかな(プロフ) - 前作から読ませて頂いてました^_^今井君も片桐君も大好きです！応援してます。頑張って下さいね (2018年12月29日 10時) (レス) id: c55ba19e50 (このIDを非表示/違反報告)
彼方(プロフ) - すみれさん» 初めまして、コメントありがとうございます！ご期待に添えるよう更新頑張ります！ (2018年12月29日 1時) (レス) id: 93a2639ec6 (このIDを非表示/違反報告)
すみれ(プロフ) - え、こんなの絶対面白いに決まってる……更新楽しみにしてます！ (2018年12月28日 22時) (レス) id: 89ad3b6e7e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：彼方 | 作成日時：2018年12月26日 23時
