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二人は奥の席に座ったようだ。
マスターは「どうしたの?」と必死に隠れている私に小声で尋ねてきた。
『ごめんなさい、訳あって私はあの子達から注文をとれません……』
「そ、そうなの、じゃあ俺が聞いてくるからね」
マスターはカウンターから出ると、今井くん達に注文を取りに行った。彼らはレスカとパフェを二つずつ注文した。男の子がパフェを二人で食べに来るなんて可愛らしい、今井くん甘いもの好きみたいで良かったと安心した。
そっとカウンターから頭を出して様子を伺うと、妙にそわそわした様子の今井くん越しに谷川くんと目があった。
とても驚いた様子の谷川くんは、口パクで「仕事ですか?」と言っているように見えたから、うんうんと頷いた。
納得した様子の谷川くんに、まだそわそわしている今井くんが尋ねる。
今「なんだぁどうしたんだ谷川」
谷「いや!なんでもないですよ!ところで今井さん、あのカップケーキ美味かったですか!?」
わざとらしく大きい声で谷川くんが今井くんに感想を求める。私に聞かせてくれようとしてるんだろう、めちゃくちゃいい子だ……。
今「谷川よ、あれはよぉ美味いなんてもんじゃなかったぜ……俺の為にあんな美しい人があんなに美味いものを作ってくれるなんて……なぁ、やっぱり三橋の罠じゃねぇか?」
谷「いや、さすがに三橋もそんなことしないと思いますけど……」
今「バカやろぉ!!あいつに何日間も閉じ込められたことを忘れたのか!?」
え、そんなことする人がいるの!?今井くんその人になにかしたのかしら……。
でも、カップケーキは喜んでくれたみたいでよかった。それに美しい人だなんて……これはチャンスがあるって思っていいのかしら。
彼らの話は気になるけれど、そろそろ次のバイトに行かなければならない。今井くん達に気付かれないように行かなくちゃ。
でもその前に、パフェ作らないとね!
私はカウンターから頭が出ないように厨房に移動すると、普通より少し大盛りのパフェとどう考えても元の取れないレベルにフルーツとブラウニーを盛ったパフェを作った。マスターに材料費は給料から引いてくれとお願いして、今井くんにデラックスなパフェがいくようにお願いして裏口から店を出た。
私は三橋とかいう人のことを恨み呪いながら、BARへと急いだ。
ああ、いつになったら今井くんときちんとお話ができるんだろう……。
どうやらこの恋は、困難を極めそうだった。
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もも(プロフ) - とても良い作品ですね!また更新しますか?楽しみにしてます!! (2019年6月26日 22時) (レス) id: 57906027dd (このIDを非表示/違反報告)
彼方(プロフ) - かなかなさん» 初めまして、コメントありがとうございます!他作品も読んでいただいて嬉しいです、更新頑張ります! (2018年12月30日 22時) (レス) id: 93a2639ec6 (このIDを非表示/違反報告)
かなかな(プロフ) - 前作から読ませて頂いてました^_^今井君も片桐君も大好きです!応援してます。頑張って下さいね (2018年12月29日 10時) (レス) id: c55ba19e50 (このIDを非表示/違反報告)
彼方(プロフ) - すみれさん» 初めまして、コメントありがとうございます!ご期待に添えるよう更新頑張ります! (2018年12月29日 1時) (レス) id: 93a2639ec6 (このIDを非表示/違反報告)
すみれ(プロフ) - え、こんなの絶対面白いに決まってる……更新楽しみにしてます! (2018年12月28日 22時) (レス) id: 89ad3b6e7e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:彼方 | 作成日時:2018年12月26日 23時