恋に落ちました ページ3
「で？それでどうしたの？」
夜、バイト先のBARのお客さんに昼間の話をしていた。
BAR SIRIUS、ここが私の夜のバイト先。バーテンではない私は、主に厨房を担当している。
『それが、走って逃げてっちゃったんですよね」
「はは、急に年上のお姉さんに抱きつかれて付き合ってなんて言われたから、パニックになったんじゃないかい？」
『え〜、ツッパリの子達ってそんなに初心なんですか？』
そう、あの後彼は私に返事をくれることはなく、走り去ってしまった。残された連れの男の子も「すいません、失礼します！」と頭を下げて行ってしまったから、分かっているのは名前だけだった。
「さぁねぇ。でも、青い制服っていったら、紅羽高校じゃないかな」
『あ！紅高って言ってたから、そうかも』
お客さんのお陰で彼の学校が分かった。これならお礼にもしに行けるかな、と胸が踊る。
「でも、Aちゃんが高校生に惚れるとはね。いつもと逆だし犯罪だわ、いいのマスター？」
お客さんの問いかけに、マスターはただ笑っている。
このお客さんは私の元彼や好きだった人のことをよく知っている、大学に入った頃からここでバイトしているから、それも当然のことで娘のように可愛がってくれているのだ。
『高校生って何が喜びますかね？お菓子とか？』
「男の子なら女の子の作ったものならなんでも喜ぶんじゃないかな？しかし娘がツッパリに恋したなんて聞かされたら、俺は泣いちゃうよ」
そう言いながら、笑ってウィスキーを一口。その姿は渋くてかっこいい。
そう、本当はこのお客さんみたいな人がタイプなのだ。
『明日昼のバイト休みだし、持っていこうかな！』
「お、積極的だね、応援するよ〜」
お客さんに後押しされ、気を良くした私はBARでの仕事を終え帰宅すると、寝ないでカップケーキ作りを始めた。体の大きい子だったから、沢山食べるかなと思って小さいのをいっぱい作って箱に詰めた。
意気込んで迎えた朝。いつもより少し気合をいれてメイクして、髪を高い位置でひとつに結ぶ。お気に入りのワンピースに袖を通し、私は彼の通う学校へ向かった。
校門の近くで彼を待っていると、男子校の為か生徒達の視線が痛い。今井くんはなかなかやってこなくて、もしかしてツッパリだから今日は来ないのかな？なんて思い始めた頃、豪快な笑い声と共に彼は現れた。
『今井くん！』
私が呼びかけて手を振ると、彼はひどく慌てた様子を見せ、元来た道を走り出した。
『なんで逃げるの！？』
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もも(プロフ) - とても良い作品ですね！また更新しますか？楽しみにしてます！！ (2019年6月26日 22時) (
レス) id: 57906027dd (このIDを非表示/違反報告)
彼方(プロフ) - かなかなさん» 初めまして、コメントありがとうございます！他作品も読んでいただいて嬉しいです、更新頑張ります！ (2018年12月30日 22時) (レス) id: 93a2639ec6 (このIDを非表示/違反報告)
かなかな(プロフ) - 前作から読ませて頂いてました^_^今井君も片桐君も大好きです！応援してます。頑張って下さいね (2018年12月29日 10時) (レス) id: c55ba19e50 (このIDを非表示/違反報告)
彼方(プロフ) - すみれさん» 初めまして、コメントありがとうございます！ご期待に添えるよう更新頑張ります！ (2018年12月29日 1時) (レス) id: 93a2639ec6 (このIDを非表示/違反報告)
すみれ(プロフ) - え、こんなの絶対面白いに決まってる……更新楽しみにしてます！ (2018年12月28日 22時) (レス) id: 89ad3b6e7e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：彼方 | 作成日時：2018年12月26日 23時
