蒼色涙 (ページ9)

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きっとこれが智なら、迷わず私は大丈夫だ、という。
そう、カズだから。

「色々、疲れた…」
「顔、キモチワル」
「しばく」

笑いながらこんなことを言えるから。
たぶん、安心できるんだと思ってる。

智が、振り向いて私達を見た。

あまりにも冷たい目なのに。
笑いながら、

「おめーら、ほんと仲いいな。俺おいてけぼりじゃん」

なんて言う智。
何を考えてるの。
置いていってるのは智じゃないの？

少なくなった笑顔も、時々見せる冷たい態度も、好きな女にみせるあの愛おしむような目も。
全部、距離を作ってることに気付いてないの？
溝を作ってることに気付いてないの？

一人先に行って、私達は置いてけぼり。
だから、知ってるの。
永遠なんて、続かないと。
いつかは必ず忘れてしまうと。
今を大事にしようとしてるのに、離れられてばかりなの。

智のせいなのよ。

頭に昇った血と、目の奥がジンジンして溢れそうな涙をこらえて。
気持ちを引き締める。
智の前では、あの頃の私でいなきゃいけない。

「何言ってんの！ほら！」

智に駆け寄った。

「置いていくわけないでしょ？何甘ったれたこと言ってんのよ」
「あは、そうだった」

バシン、と智の背中を叩いた。

こんなに好きなのに、こんなにも、嫌い。

何もわかってない智への、メッセージ。