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授業終わりのチャイムがなった。
終礼がないこの学校は、このチャイムで皆が思い思いに動き出す。
私も荷物を持って片手にスケッチブックをもつ。
もちろん、隣のカズも、少し向こうにいる智も。
いつも、どこでも一緒。
「あ、そういやA、週末智と花見行ったんだっけ？」
「あぁ、うん、絵描いてきたけど？あとで見せてあげる」
「お前の見るより智の見たいけどね」
「ほんっと、いつもそれね」
「うるせーよ」
カズがベチンと私を叩く。
「ほら、おめーら行くぞ」
いつの間にか片手にガバンをもった智が割り込んできた。
「ほら、カズいくよ」
「はいはい」
カズがゆっくりと立ち上がる。
廊下に横一列に並びながら、美術室に向かう。
「ねぇ、智、前の桜、もう描けた？」
「ん？あぁ、昨日描いちゃったけど？」
「早ぁ……、桜の絵、コンクールに出したいんだけど、間に合うかな、締め切りもうすぐだよね」
「来週までよ？間に合うの？」
「カズはなんの絵出すの？」
「前描いてたやつ、油絵の」
「あぁ、あれか」
「いいでしょ？あれ。お気に入り」
とん、カズの肩が触れた。
なぜだかわからないけど、智と喋る時はコンクリートのような壁を自分に作る。
出してはいけないものを固めるように。
表の顔で智と接してしまう。
いつの間にかおいてきた、私の本心が、するりと抜けて。
カズとは？………いつも気を遣わない。
ありのままの私。醜い部分も汚れた部分も全てさらけ出せる。
カズの方が楽。智にはいつも、心を押さえつけてる。
いつの間にか。本当に、いつの間にか。
そんな自分に嫌気がさした。
しっかりしてくれ、と誰かが叫んでる。
「ん？どうした、A？」
すぐに変化に気付いてくれるのも、
優しい言葉をかけてくれるのも、
カズなのに。
智はいつも、先を行く。
今だって。
隣にいるのはカズで、ちらっとこちらを振り返っただけで、そのままスタスタ歩いていくのは智。
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作者名：さくまる | 作成日時：2018年8月13日 18時
