蒼色涙 (ページ5)

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その思いを振り払うように、カズに問いかける。

「智は、私のことどう思ってんだろうね」

カズが歩み寄る気配。
息を吸う音も、なにか諦めたような目も、感じたような気がした。

「特別なオンナノコ」

耳元で呟かれた言葉がこだまする。

「模範解答でしょ？」

これで満足かと言わんばかりに。

ゆっくり振り返ると、今日初めてカズと目が合った。

彼が私を女として見てることは知っている。
目を見ればわかる。
男の目。

「ありがと、元気出たわ」

ケッ、とバカにしたように笑う。
近くの机に腰をのせて。
腕を組んで顔をおろしながら。
表情はわからないけれど。
目は合ったまま。

「智になりたいよ、俺は」
「カズはカズのままで素敵よ、安心して」
「それじゃあ、俺のこと好きになってくんないでしょ？」
「身体くらいは貸すけど？」
「俺は心までほしいんですけどね」
「贅沢ね」

ガラリとまた、教室の扉が開いた。

「おっはよーう！あ、また二宮くんと宮野さん。いつも早いね二人！」
「おはよう、宮下くん、たまたまだよ」
「今日は宮野の方が俺より遅かったしな！ハハハ！」
「あれ、私じゃなかった？」
「そうだっけ？」

私達は、普通の高校生に戻る。