蒼色涙 (ページ4)

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「あ、智じゃん」

カズが正門を見下ろして楽しそうに笑った。
いつも見てしまう、この景色。
智の隣にいる女の子。
智のトクベツな。

キエテシマエ。

誰かが言う。

レイセイニナレ。

誰かが言う。

いつかは忘れることだと言い聞かせて。
毎日毎日、憂鬱になるほど見続ける。

ホントはこれが目的なのに。
知らないふり。

「あの子可愛いね、お前とは大違い」

そんな言葉をかけるのに、ぽん、と私の頭に手を乗せる。
いつもそう。

無言の優しさが彼にはあるのだけれど。
好きにはなれない。

智の隣で可愛く微笑むあの子。

胸の奥がじわじわと詰まる。
喉元から何かが飛び出て壊れそうになる。

私はあの子みたいに可愛くない。
私はあの子みたいに笑えない。
私はあの子みたいに素直じゃない。
私は、私は……数えだしたらきりがない。

何が足りないの。
何がいけないの、と。
毎日毎日問いかける。

答えが出ないことなんて、知っているのに。

俺にすれば？
カズが、また、呟いた。
同じ言葉を毎日毎日、飽きずに。

彼もまた、私に、私と同じ思いを抱いている。